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遠藤保仁が「鬼スパルタ」の部活で得たものとは? 「今の時代の子供たちとは違う」

部活で限界を超えてきた選手は「火事場の馬鹿力がある」

 遠藤は、よく何事にも動じない鉄のメンタルと称される。それは性格的な部分もあるが、高校時代に鍛えられたところもある。そうして厳しい部活で身に付いた根性は、サッカーにおいて、どんなシーンで実感できるのだろうか。

「最後の最後ですよ。火事場の馬鹿力っていうじゃないですか。僕らの世代は、その言葉がぴったりとハマるぐらい鍛えられました。最後にチームのために走るとか、体を投げ出すとか、チームのためにひと踏ん張りできるのは部活上がりの良いところだと思います」

 厳しい部活は大変な分、得るものは多かった。今は、部活の在り方が変化し、理不尽な世界が消えつつあり、選手の自主性や主体性を重視する指導が増えてきている。

「時代の流れもあるので、今の時代に昔のことを当てはめても上手くいかないと思いますね。指導者のレベルも上がっているし、選手の意識も多様化している。社会もスパルタという言葉が消えつつある。だからといって高卒の選手がダメになったかというとそうではなく、今の時代でも良いところはたくさんあるので、そこを伸ばしていければ自分らの時代とは異なる部活上がりの良い選手がプロになるんじゃないでしょうか」

 チームには毎年、高校の部活出身、クラブユースからの昇格、大卒などの選手が入団してくる。遠藤は24年前、横浜フリューゲルスに入団したが、それ以降はチームに入ってきたルーキーたちを見てきている。部活とクラブユースで区切った場合、違いはあるのだろうか。

「今まで両者を見てきましたけど、ユースの選手はボールの扱いが上手いし、それにプラスしてメンタルが強い選手が海外に行っている。あと、ユースの選手は、仲間を作りたがる傾向にあるかなと。部活の選手は、下手じゃないけど、クラブユースよりもボール扱いに差が出やすい。でも、部活で限界を超えてきた選手は、火事場の馬鹿力があると思うんですよ。これは自分のイメージだけど、そういう力は部活とクラブユースでは多少の差があると思います」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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