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V候補に0-8大敗 田辺高、それでも貫いた楽しむ姿勢「ホッケーをやってきて良かった」

全国高校総体(インターハイ)ホッケー競技女子は16日に2回戦が行われた。田辺(和歌山)はインターハイ優勝24回を誇る強豪・岐阜各務野(岐阜)に0-8で敗戦。それでも試合前に「楽しみたい」と話していた田辺(和歌山)の宮坂碧キャプテンは、その姿勢を終始貫いた。

ホッケー女子2回戦、田辺は岐阜各務野に0-8で敗戦【写真:山田智子】
ホッケー女子2回戦、田辺は岐阜各務野に0-8で敗戦【写真:山田智子】

全国高校総体・ホッケー女子、田辺高は2回戦で岐阜各務野に敗戦

 全国高校総体(インターハイ)ホッケー競技女子は16日に2回戦が行われた。田辺(和歌山)はインターハイ優勝24回を誇る強豪・岐阜各務野(岐阜)に0-8で敗戦。それでも試合前に「楽しみたい」と話していた田辺(和歌山)の宮坂碧キャプテンは、その姿勢を終始貫いた。

「めっちゃ楽しかったです」

 その楽しさは、対戦相手にも伝わっていた。岐阜各務野の主将・山藏百音は、田辺の選手に触発されたと話す。

「相手がすごい楽しんでるなあと思いました。点を取っても取っても、『次いこう』『次行こう』とずっと声を出してて。気落ちすることなく、最後まで食らいつこうという気持ちが見えたので、自分たちも奮い立たされました」。

 田辺は自陣で守りを固め、カウンターを狙う戦術を選んだが、第1クオーター(Q)だけで4失点。「やっぱり、さすが全国レベルの強豪校だなというのはありました。シュート確率がすごくて。二桁取られなかったのは良かったです」と宮坂は笑う。

 優勝候補が相手。実力差を考えれば、第1Qでほぼ勝敗は決していた。それでも最後まで緊張感のある締まった試合になったのは、田辺の選手の思いの強さがあったからだ。

 田辺はインターハイ限りでホッケー部を引退する選手も少なくない。

「いつもだったらシュンってなっていたと思うんですが、これが最後の試合になるかもしれないという思いがあって。だからこそできた試合なのかなと思います。

 メンタルは坂本(倫嗣)先生にビシバシ鍛えられましたから(笑)、しっかりと気持ちを保って、ポジティブに考えようって。どれだけ攻められても、自分たちが最後までやり切るって思っていたら、絶対にどこかでチャンスは生まれる。それが今までの経験から分かっていたので、その1回のチャンスでどう攻め切るかが課題だったんですけど、今日は得点までいかなくて、ちょっと悔しいです」

 インターハイに至るまでの、近畿大会での経験も大きかったと宮坂は続ける。「0-5くらいの大差で負けるだろう」と思われていた立命館戦。田辺は前評判を覆して、粘り強い守備で1-1に抑えた。結果的にシュートアウト(SO)戦で敗れたものの、この経験がチームの大きな自信になっていた。「(第2Q以降)粘り強く守れたのは、今日が最後の試合になるかもしれないという気持ちが半分、今までのみんなの経験が半分だと思います」。

 坂本監督は「昨日の試合と今日の試合ではシステムが違うので、切り替えるのに時間がかかりましたが、第2Q以降は対応できました。こういう順応性、応用が効くところは、これからホッケーを続ける続けないにかかわらず、つながっていくと思います」と選手を称えた。

 宮坂も「各務野は小学校からずっとホッケーをやっている子ばかり。自分たちは全員高校から始めた素人で2年半しかやっていない。経歴の差は大きかった。それでも、初戦を突破して、各務野さんと戦えたのはめっちゃ光栄なことです。ホッケーをやってきて良かったなと思います」と、またひとつ大きな経験を得て、胸を張ってインターハイの舞台を後にした。

 目の前の試合に勝利することだけではないスポーツの価値を見せられた、素晴らしい一戦だった。

(山田 智子 / Tomoko Yamada)

山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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