創部3年で初のインハイ 発足から支えた福岡女学院エース、団体戦敗退で痛感した実力差
15日からシングルス、韓「最高の試合にしたい」
第4、第5ゲームは接戦となるが、韓が得意とする“3球目攻撃”がなかなか決まらない。第4ゲームを奪われると、第5ゲームもデュースの末に10-12で落として敗れた。小園江監督は「韓にしてはめずしく、硬い試合だった。責任感の強い子なので、自分が勝たなければという思いがあったのかもしれない」と気遣った。
福岡女学院卓球部は、2019年4月に創部された。きっかけはロンドン、リオデジャネイロ五輪で日本女子代表監督を務めた村上恭和氏が福岡女学院に講演会に訪れたことだった。同校に卓球部がないことを知り、「近くに名門の卓球クラブがあるから、そこと連携して、卓球に力を入れたら、すぐに全国を狙えますよ」と学校に力説した。
その名門の卓球クラブとは、スポーツ用品店「こぞのえスポーツ」が開く卓球教室のこと。100人以上の地元の小中学生が所属し、かつては小園江監督が指導に当たっていた。村上氏と小園江監督とは旧知の仲でもあり、福岡女学院は村上氏の推薦を受けて小園江監督を招聘。こぞのえスポーツに所属していた選手たちが福岡女学院卓球部に入部した。
1年生6人でスタートしたチームは、その年の12月に開催された県大会の団体戦で2位に。下級生が加わった2年目は、初の全国大会となる全国高校選抜大会に出場。3年目にして初のインターハイ出場と、チーム発足時の目標であった「全国大会出場」を早々と達成した。
小園江監督は「ここ(全国)で上に行くには、まだ2、3年かかる」と現在地を分析。それでも「経験が大事なので、インターハイに出場したことは大きい」と収穫を口にする。
創部6人の部員のうちの一人が、韓だ。卓球経験者の祖父の下、5歳でラケットを握り、10歳からこぞのえスポーツで本格的に競技に取り組み始めた。福岡女学院進学後は、エースとしてチームを引っ張ってきた。シングルスでも、福岡県予選で2位に入り、インターハイ出場枠を独占する希望が丘の牙城を唯一崩した。
15日から始まるシングルスに向けて、「13年間卓球をやってきて、今回が最後なので、勝敗に関係なく、最高の試合にしたい」と韓。最高の試合とは、もちろん、自分が主役だと思える試合だ。
(山田 智子 / Tomoko Yamada)