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挑戦すら叶わなかった1年前 高校3冠をあきらめない女子ホッケー部の夏「先輩に金メダルを」

全国高校総体「インターハイ」が北信越で2年ぶりに開催される。コロナ禍にめげることなく、さまざまな「あきらめない」を持った出場校や選手を紹介する「THE ANSWER」の連載「できっこないを、やる夏だ。」。第3回は8月13日に開幕するホッケー女子の岐阜各務野。10年ぶりの高校タイトル3冠を狙った昨年はコロナ禍によりインターハイなどが行われず。ホッケー王国の伝統校は「先輩に金メダルを掛けたい」と後輩たちが燃えている。(文=山田 智子)

岐阜各務野高校女子ホッケー部、主将の山藏百音さん(左)と前主将の河田真緒さん【写真:黒川真衣】
岐阜各務野高校女子ホッケー部、主将の山藏百音さん(左)と前主将の河田真緒さん【写真:黒川真衣】

連載「できっこないを、やる夏だ。」第3回 岐阜各務野女子ホッケー部

 全国高校総体「インターハイ」が北信越で2年ぶりに開催される。コロナ禍にめげることなく、さまざまな「あきらめない」を持った出場校や選手を紹介する「THE ANSWER」の連載「できっこないを、やる夏だ。」。第3回は8月13日に開幕するホッケー女子の岐阜各務野。10年ぶりの高校タイトル3冠を狙った昨年はコロナ禍によりインターハイなどが行われず。ホッケー王国の伝統校は「先輩に金メダルを掛けたい」と後輩たちが燃えている。(文=山田 智子)

 ◇ ◇ ◇

「3冠」。掲げた目標に、挑戦すらできなかった。

 夏のインターハイ、秋の国体、冬の選抜大会の高校ホッケー3大タイトル制覇。U-18日本代表 (2020年度)に名を連ねる6人の3年生、小学校と中学校で全国大会“連覇”を成し遂げた2年生を擁した昨年の岐阜各務野は、2010年以来の偉業が狙えるチームだと期待されていた。

 しかし、新型コロナウイルスは、高校生の目標を容赦なく奪った。学校は休校になり、インターハイと国体の中止が相次いで発表された。

【動画】1年前に涙した先輩も登場 各務野女子ホッケー部に密着した応援ムービー

「自分たちの目標は3冠だったので、インターハイがなくなったと聞いた時は『どうしよう。3冠が獲れない』と悔しくて、悲しい気持ちでした」。前キャプテンの河田真緒(東海学院大1年)は失われた夏を振り返る。

 長尾美和監督も「彼女たちも相当辛かったと思うんですけど、見ているこちらも本当に辛かったです」と当時の心境を明かす。

「『まだ選抜大会があるじゃない。選抜は岐阜開催だし、気持ちを切り替えて、残り一つのタイトルを絶対に獲りにいこう』と伝えたんですけど……。

 先生たちは自分たちを頑張らせるためにそう言うだけで、結局は選抜もなくなるんじゃないのと疑心暗鬼になって、なかなか気持ちが切り替わらず、しばらくは放心状態でしたね」

 2020年12月。3年生にとっては最初で最後の全国大会となる選抜大会が、予定通り開催された。「この大会にすべてを掛ける3年生と、その思いに融合する2年生と1年生。彼女たちってこんなにすごかったんだって、びっくりするくらいの力を発揮して」(長尾監督)、岐阜各務野は優勝を果たした。

「1か月前から部員全員で手書きのカウントダウンカレンダーを作り、気持ちを一つにして戦った。3冠のつもりで獲った1冠です」。当時の3年生、近藤若菜(東海学院大1年)は「いい終わり方ができた」と満足感を口にする。

 それでも、3冠を叶えられなかった悔しさが消えたわけではない。

「インハイがなくなって、自分たちが悔しい思いをしているのはわかっていると思う。大会が行われることへの感謝の気持ちを忘れず、自分たちが獲れなかった3冠を目指してほしい」(近藤)

「今の3年生の子たちはインターハイができる。自分たちの代わりに3冠を獲ってほしい」(河田)

 3冠挑戦への第一関門、インターハイへ向かう後輩へ、成し遂げられなかった夢を託す。

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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