帝京が11年ぶりインハイ切符 2点差逆転に指揮官涙「苦しかった。またダメなのかと」
サッカーの全国高校総体(インターハイ)出場をかけた東京都高校総体は19日に準決勝を行い、8月に福井県で行われる全国大会に出場する2チームが出そろった。第1試合では、帝京高校が2点差から追いつき、延長戦の末に堀越高校を破った。インターハイ出場は、2010年以来11年ぶり。OBでもある日々威監督は、1991年度の全国高校サッカー選手権大会で四日市中央工業高校と両校優勝した当時の主将。2015年に監督就任後、全国大会出場目前で敗れることが多く「苦しかった……。またダメなのかと思った」と涙を流した。
東京都高校総体、帝京が堀越に逆転勝利
サッカーの全国高校総体(インターハイ)出場をかけた東京都高校総体は19日に準決勝を行い、8月に福井県で行われる全国大会に出場する2チームが出そろった。第1試合では、帝京高校が2点差から追いつき、延長戦の末に堀越高校を破った。インターハイ出場は、2010年以来11年ぶり。OBでもある日々威監督は、1991年度の全国高校サッカー選手権大会で四日市中央工業高校と両校優勝した当時の主将。2015年に監督就任後、全国大会出場目前で敗れることが多く「苦しかった……。またダメなのかと思った」と涙を流した。
帝京の逆転勝利は劇的だった。試合の立ち上がりは、ショートカウンターで何度も攻めたが、点が取れなかった。すると、昨年度の全国高校サッカー選手権でベスト8と躍進した堀越が、試合のペースを掌握。前半終了間際、左サイドでボールを奪うと、逆サイドへ展開。MF古澤希竜(3年)のクロスがGKに弾かれたところをMF日隠ナシュ大士(2年)が押し込んで先制。さらに後半開始早々にFW高谷遼太(1年)が追加点を獲得した。
しかし、2点のビハインドとなった帝京は、選手交代で試合の流れを変えた。2点目を失った直後に左MFへ投入された山下凛(2年)が鋭いカットインなどで脅威を与え、後半12分に左サイドからつないだパスを決めて1点を返した。右MFに投入された橋本マリーク識史(2年)も縦への突破を仕掛けて押し込んだ。それでも、堀越が逃げ切るかと思われた後半終盤にドラマが起きた。
アディショナルタイムに得た右CKで、GK岸本悠将(3年)も前線に上がってパワープレーを仕掛けた。すると、ファーサイドにいたDF荻野海生(3年)が相手の頭の上からヘディングを打ち下ろし、同点に追いついた。荻野は、昨季途中までGKだったが、身体能力の高さを評価されてDFへ転向。大きな1点を生み出した。
試合は延長戦に突入。九死に一生を得た帝京は、勢い付いた。延長後半5分、左サイドからパスをつなぐと、昨季のU-15日本代表候補にも選出されたFW齊藤慈斗(2年)が前線へ股抜きパス。途中出場のFW福地亮介(3年)がシュートを決めて逆転に成功した。ベンチに走った福地は、日比監督と抱き合った。これが決勝点だった。
福地は「昨季から自分が2年、慈斗が1年で試合に出ていて、信頼関係がある。信じていたし、前を向いて流し込むだけだった。昨日の夜、点を取ったら日々先生のところに行って感謝を伝えようとサッカーノートに書いて、有言実行ができて良かった。全国でもチームに貢献したい。仲間と(ユニフォームに全国制覇の証の)10個目の星を付けようというのを課題にしている」と話した。
試合前日、OBのMF三浦颯太(日体大)の2023年シーズンの甲府加入が発表された。三浦の3年次も力のあるチームに仕上がっていたが、全国高校選手権の出場に王手をかけながら最後の最後で道を阻まれた。しかし、その戦いぶりを見て入学してきた当時の中学3年が現在の3年生。日比監督は「一緒に選手を育ててくれたスタッフ、選手を送ってくれたジュニアユース世代の指導者のおかげ」と感謝を示した。帝京は、全国高校総体で3回、全国高校選手権6回の優勝を誇る名門。10度目の全国制覇に挑む。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)