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「世界最高峰の柔道家になる」 夢をかなえた井上康生が高校生へ伝えた“魂のエール”

進路で迷った高校生へ「最後に決めるのは自分」

「みんな柔道から色々なことを学んでいると思う。それを将来に生かしていってほしい」

 柔道で培った経験は必ずや人生の糧になる。そんなメッセージを伝えた井上さんに、高校生から最後の質問が飛んだ。

 3年生部員から「進路について、まだ決まっていない状態で焦りもあります。どうしたらいいでしょうか」という将来への不安を聞かされた。これに対して、井上さんは自身の経験も踏まえて心からのアドバイスを送った。

「俺には柔道でチャンピオンになりたいという思いがあった。宮崎で育ったが、柔道で強くなりたい。トップの選手になりたいという気持ちがあって、東海大相模に柔道留学した。大学進学の際もいくつか選択肢がありましたが、柔道の強豪校でもあり、自分自身がどう歩んでいくか考えた時に、東海大で学ぶことが一番大事だと思った。進路は選ぶのは難しい。友人や、先生、親にも相談して考えていくのもいいかなと思います。

 進路に限らず、色々な選択、決断は迫られるときはたくさんあります。決める時に、何を大事にしなければならないか。最終的には自分自身で決めること。それが大事です。自分の武器というものを探して、最終的には自分自身で切り開いていくことです。柔道においても周囲に色々な相談はしたが、自分で決めて歩んでいった。最後は自分で決めたんだから後には引けませんよね」

 自らの道は自ら切り開く。日本柔道界をけん引する男からの金言に、生徒たちはメモを取りながら聞き入っていた。

 そして授業のラスト、井上さんは「明日へのエール」を言葉に込めた。

「苦しい状況で過ごさなければならなかったことは辛い思いだったと思う。俺は3年最後の大会は負けたけど、戦えたから……。戦えずに終わってしまったのは想像を絶する辛さだったのではないかと思う。ただ築き上げたことが消えることはない。そこは誇りに思ってもらいたい。嫌なことや辛いことは忘れたいもの、だけどこのコロナ禍での生活を忘れて欲しくはない。

 この経験が新たなエネルギーになって変わってくる。辛いことや、苦しいこと、挫折を乗り越えた時に人間の真価は出てくる。この経験を絶対に忘れずに、次なるところに生かしていくことが大事。受け止めてどう切り開いていくか。明るい未来が必ずやってくると信じてやっています。みんなも強い気持ちをもってこれから歩んでいきましょう」

 予定の1時間を優に超えて行われたオンラインエール授業。井上さんと向き合った体験は、コロナ禍で苦しんだ高校生にとってかけがえのない財産になった。

■オンラインエール授業 「インハイ.tv」と全国高体連がインターハイ全30競技の部活生に向けた「明日へのエールプロジェクト」の一環。アスリート、指導者らが高校生の「いまとこれから」をオンラインで話し合う。授業は「インハイ.tv」で配信され、誰でも視聴できる。

(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)

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