「緊張を認める勇気持てば景色が変わる」 ソフトテニス界初プロ選手が高校生にエール
実体験をもとにしたメンタル論「緊張を認める勇気を持てば、景色は変わる」
つづくメンタル論でも、実体験をもとにした具体的なアドバイスを送っていく。
――試合前に緊張をほぐす方法はありますか?
「僕もかなり緊張しているし、その緊張をなくすのは人間なので難しい。でも緊張をエネルギーに変えることができればすごい力を発揮できる。僕は整列する前に目を閉じて5回ジャンプするのがルーティーン。緊張していなければ目を閉じていてもまったくフラフラしないけど、タイトル戦などで緊張している場面ではフラフラしてしまう。緊張していなければ勢いのままプレーしていいし、緊張していると感じた時はそれを理解して、認める。緊張を認める勇気を持って、ポジティブな思考になれば、見えてくる景色が変わってくる。緊張を排除するためにいろいろ試したけど無理。だから認めて、緊張している自分を受け入れる」
――うまくいかなかった時や結果を残せなかった時にどうすればモチベーションを上げられますか?
「おそらく2パターンあって、練習するか、練習をやめるか。僕は大学2年生くらいまで、とことん練習した。どんどん上手になる時期があって、その先にはだんだん停滞してしまう時期がある。なぜかうまくいかない、モチベーションも上がらない、でもとにかく練習をしていた。そうしたら怪我をしてしまった。そこで思い切って休んだら、いろいろな感覚がリセットされた。今でも試合前は自分自身をどん底に落とすために、まずは練習したくなくなるまで練習する。その後にちょっとリフレッシュして、テニスがしたくなるように気持ちを作って試合に臨む」
緊張を受け入れ、認める。とことん練習した後に、リフレッシュする。数多くの大舞台を経験し、幾多の修羅場をくぐり抜けてきたプロアスリートならではの言葉を、生徒たちは必死にメモに書き留めていた。
船水の熱血指導によって1時間の授業はあっという間に終盤を迎えた。代表して挨拶を行った生徒は「私たちは今、新型コロナウイルスの影響で活動時間が制限され、思うように部活ができていません。そんななか、今日は船水さんに話を聞かせてもらって、充実した時間を過ごせました。明日からは船水さんのアドバイスを生かして、練習に励んでいきたいです」と目を輝かせた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今年のインターハイは中止に。高校生にとって数限りのある夏の大舞台を奪われてしまった。
船水が明日へのエールを送る。
「インターハイがなくなってしまって、地区によっては県大会もなくなっているところもあると思う。当たり前のように練習できていたことができなくなってしまった。こういう経験は史上初だと思し、この経験は皆さんの代だけ。僕自身も今は試合がなくて大変な部分はあるけど、必ず突破口は見えてくる。チャンスの時のために頑張ろうと決めている。インターハイが中止になってしまったという悔しい感情をエネルギーに変えて、次の舞台で躍動してほしい」
最後は、船水と生徒全員が親指と人差し指をクロスさせてハートマークを作り、オンライン上で記念撮影を行う。
熱気と活気に溢れた夢授業のその先は、生徒たちが明日からのコート上で見せてくれるはずだ。
■オンラインエール授業 「インハイ.tv」と全国高体連がインターハイ全30競技の部活生に向けた「明日へのエールプロジェクト」の一環。アスリート、指導者らが高校生の「いまとこれから」をオンラインで話し合う。これまでボクシングの村田諒太、バドミントンの福島由紀と廣田彩花、卓球の水谷隼、サッカーの仲川輝人、佐々木則夫さんらが講師を務めてきた。授業は「インハイ.tv」で配信され、誰でも視聴できる。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)