「私は1日33個のルーティンを作った」 杉山愛が高校生に伝えたエールの真意
「私はルーティンを1日23個、試合がある日は33個作りました」
「最近、家でトレーニングをやる機会が増えるけど、設定の厳しい体幹トレーニングを最後のギリギリのところで頑張り切れない。それが試合にも通じていて、最後の大事な1点で勝ち切れなかったり、粘り切れなかったりすることが多い。杉山さんはそういう場面でマインドコントロールをしていますか?」
頷きながら聞いていた杉山さんは参加者の思いを受け止め、自身の価値観を明かした。
「練習のギリギリのところを試合の最後の1ポイントに紐づけて考えられるなら、逆に練習でやり切ったら試合で『よし、あれだけトレーニングを頑張ったんだから最後、絶対できる』という“自信の貯金”が積み重なっていく気がする。『あと5秒、苦しいところをやり切ったぞ』となれたら、自分の殻を破るきっかけになるんじゃないかと思います。人間誰しも『もういっか』と負けてしまう。私はルーティンを1日23個、試合がある日は33個作りました。
それは体と心の声を聞きながら、体と心を整えるもの。呼吸法から始まり、ジムに行ってからのトレーニングの流れとか、この順番でやっていくと体が動きやすいというものを見つけていった。だから『このルーティンはいいな』と知りながらやらないのは相手に負ける前に自分の前に負けている。だから、毎日のルーティンをこなしていくと“自信の貯金”になった。『毎日、あれだけ考えて生活しているから、こんなところで絶対負けるわけない』って」
驚きのルーティンの個数を明かした杉山さん。「もちろん、みんながそれだけやる時間はないと思うけど、毎日5個でもあると自分の体の状態を知るバロメーターになる。みんな、それぞれに正解があるので、探して取り入れてみて」とアドバイスした。
この夏の目標を失った高校生たちと過ごした1時間。インターハイが中止になったことについては「こういう風に機会が奪われるのは私も経験がない。みんながどれだけつらいかは想像を絶するものがある」と思いを寄せ、最後にエールを贈った。
「本当に皆さんの質問のレベルの高さに正直びっくりした。こんなにしっかり向き合えているのであれば、みんなの将来は明るいと逆に私が元気をもらった。この大変な時期を過ごして、つらいこともあると思うけど、今だからこそできること、しっかりと自分と向き合い、考えていく時間になると思う。またみんなとこういう機会で時間を一緒に過ごしたいです」
段階的に学校、部活も再開されている。新たな目標に向かう中で、杉山さんの言葉が温かく、オンライン上に響いた。
■オンラインエール授業 「インハイ.tv」と全国高体連がインターハイ全30競技の部活生に向けた「明日へのエールプロジェクト」の一環。アスリート、指導者らが高校生の「いまとこれから」をオンラインで話し合う。今後は体操・塚原直也さん、陸上・寺田明日香、バドミントン・小椋久美子さん、卓球・水谷隼らも登場する。授業は「インハイ.tv」で全国生配信され、誰でも視聴できる。
(THE ANSWER編集部)