王者・静岡学園が貫く文武両道 医学部目指し予備校通う部員「Jリーガー支えたい」
1年冬から予備校通い、夢は「スポーツドクター」
きっかけは1年生の頃。捻挫など小さな怪我を数回していた諸田は、静岡市内の整形外科で出会った医師から感銘を受けた。スポーツ経験が豊富な医師だったため、リハビリなどをこれまでになくわかりやすく説明してくれたという。「スポーツを経験しているからこそわかるリハビリなどがあると思う」という諸田の心に、いつしか医師への憧れが生じていた。「サッカーをやっていたということを生かして、医者で多くの人を救えられたらいいな」。サッカー部の活動と受験勉強を両立することを決意した。
1年生の冬から、静岡市内にある医学部進学を目指す学生のための予備校に通い始めた。毎日がハードスケジュールだった。早朝5時に起床。サッカー部の朝練に参加し、学校の授業と放課後の練習を終えて、午後8時から10時までの2時間を予備校での勉強に充てた。この生活を続けた。「正直、結構しんどかったけど、習慣化されてきて、だんだんと苦ではなくなってきた」。当然、一般に高校で学ぶレベルでは足りず、応用レベルの学習や医学の専門用語も学ばなければならなかったが、夢への情熱が諸田を突き動かした。
悩んだ時期がなかったわけではない。静岡学園中時代はMFとして、スタメンで全国ベスト16を経験。高校進学後は主にサイドハーフを務め、2年生の新人戦でAチーム入り。3年生になった当初もAチームだった。昨夏のインターハイ時はBチームだったが、サッカーの実力もある。選手権が終わるまで部活動を続けることもできたため「難しい決断だった」と考えたが、医学部進学の目標を叶えるにはこれまで以上に勉強時間を確保することが必要と判断し、インターハイ終了後に引退することを決めた。
プロになりたいという夢もかつては持ったが「選手ではなく、ドクターとしてJリーガーを支えていけるスポーツドクターになりたい」と、今は医師としてサッカーに携わることが大きな目標だ。仲間は全国制覇という夢をつかんだ。次は自分。医師と引き合わせてくれたサッカーに報いるためにも、机に向かい続ける。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)