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サニブラウン、大一番で故障のなぜ 専門家が指摘する「体力」ではない「技術力」

100mのスタート失敗も肉体に影響?「トップ選手になるほど一歩のズレで感覚が異なりやすい」

「陸上選手も後半バテると体力が足りない、走り込みが少ないと思われるかもしれませんが、走りの技術力が高くないと体の負担が大きくなるだけ。逆に技術力が高ければ、何本走っても疲れないという感覚になれる。サッカー選手も同様に足がつると同じような指摘をされますが、走りの効率が悪いとガス欠を起こしやすい。外車みたいなもの。しかし、1本のダッシュの効率を上げることで90分走れることにもつながっている。走りの効率性は共通です」

 こう話した上で「サニブラウン選手は今回の場合、5本目のレースを迎えて最初の100メートルでガソリンを使い切ってしまった感じ。スピード感やスケール感を秘めている分、ガス欠にもつながることもあります」と分析した。

 一方、秋本氏とともに「0.01」を主催するアテネ五輪1600メートルリレー代表の伊藤友広氏は「これまでで一番レベルの高い大会で4本こなし、肉体的、精神的に感じたことのない負荷がかかったことは想像できます」と振り返りながら、故障の背景には100メートル準決勝のスタート失敗があったとみている。

「スタートでバランスを崩し、つんのめるような感じになってしまった。そこで変な影響が出たのかなとも思います」

 スタートで出遅れ、結果こそ決勝を逃すことにつながったが、ほんのわずかな体勢の崩れだけで大きな影響があるとは思えないが、伊藤氏は首を横に振る。

「トップ選手になればなるほど、一歩の足を置く位置が少しズレるだけで『あ、踏み外したな』と意識するし、感覚が異なりやすい。100メートルの選手はスピードが最も出る分、肉離れが最も起きる確率は高い。足のつき方を一歩外して、それをカバーしようとすれば起こり得ることではないかと思います」

 とはいえ、18歳が世界の大舞台で見せたポテンシャルは凄まじいものがあった。伊藤氏は「最初の100メートルは自分の力を発揮し、先頭集団に付いていった。これだけでも素晴らしいこと。可能性を秘めた大物であると世界中が認識したと思います」と話した。

 故障の影響を考慮し、400メートルリレーは欠場する見通し。これが、今大会最後のレースとなる。では、世界のトップで戦っていくための課題はどこにあるのだろうか。

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