敗退なでしこ、涙を美談で終わらせるな 永里亜紗乃「本当にW杯に全て懸けていたか」
美談で終わらせてはいけない涙「泣くのは何か後悔があるからではないか」
もちろん厳しい結果を一番痛感しているのは選手のはず。17人が初めてW杯メンバーに選ばれた今大会、選手たちはさまざまな経験をして大きく成長しました。試合中だけでなく練習中からコミュニケーションを取る機会が増え、自分たちで起きている問題を解決しようという姿勢を学びました。ですが重みの感じられないプレーも散見され、それは大きな大会では致命傷になってしまう。オランダ戦後、涙を流している選手がいました。ですが、泣くのは何か後悔があるからではないでしょうか。私は現役時代も今も、泣かないために準備し、努力してきました。涙をすべて美談で終わらせてはいけません。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
大会前にも話した通り、W杯は本番です。五輪1年前のプレ大会ではありません。本当の意味で勝つための用意・準備ができていたのか、勝つために戦えていたのか、この大会にすべてを懸けていたのか。東京五輪のための準備だったと言われないように、悔しい経験を次へ生かさなければ意味がない。
偉大な先輩方が結果を残してくれたおかげで、女子サッカーを応援してくれる人たちがいるのは本当にありがたいことです。ですが、それに甘えてはいけませんし、本当の意味で強くなるためには厳しい目も必要。大きな大会の成績だけで一喜一憂するのではなく、継続的な視点で見ることも大切です。
平日の朝4時に起床してなでしこジャパンを応援してくれた人がどれだけいたのか。今日や明日の各種メディアでどれだけ報じられるのか。取り巻く環境の変化を感じ、受け止め、次のステージへ進まなければいけません。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)