突然のジャンプ打ち切りに透けたFISの考え 冬季五輪らしい「事件」はテレビ放送の都合も関係
自然相手の難しさ…早々の打ち切り決定にFIS側の思い
「公平性」と「安全性」は、FISがもっとも気にしていたことかもしれない。この種目は、前回まで4人1組で行われていた団体を2人1組にした新たな試み。参加国を1回目で12チームに絞り、2回目で8チームにして3回目を行う。「スピーディーでエキサイティングな試合になる」とFISは新種目をアピールしていた。
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ジャンプ界にとっても大きな挑戦だった。4人の団体戦は1988年のカルガリー大会から行われているが、近年は競技人口減少によって出場できるチーム数が限られてきた。より多くの国に出場の機会を与えるために人数を2人に変更しての実施。種目に「スーパー」を入れたあたりに、競技存続を願うFISの強い思い入れがうかがえる。
注目を集める初代王者を決める試合だけに「万が一」を恐れたのかもしれない。けが人が出たり公平性を欠く結果になったり…。予定通りに競技を終了させることは重要だし、そのための努力はしたはず。それでも早々と打ち切りを決めた裏には「何事もなく無事に試合を終えたい」というFIS側の思いも感じる。
さらに大きいのは運営上の問題。昼間の競技と違い、ナイターの場合は時間の余裕もない。観客のことも考えなければならない。さらに、五輪のスケジュールは分刻み。単独の競技会と違って進行の遅れや日程の変更は他の競技にも影響する。
自然相手の競技だから、予定通りにいかないことは想定内。進行に余裕をもたせたり予備日を設けたりはするが、それでも大きく逸脱するわけにはいかない。背景にあるのはテレビ放送。時間通りに終了しないと、プログラムとしての価値が下がる。
雪と氷を舞台に行われる冬季大会は、夏に比べて自然を相手にする競技が多い。氷は屋内施設で天候の影響を受けにくいが、雪の競技は厳しい。悪天候の中、スケジュール優先で予選回数を減らしたり決勝だけにするなどフォーマットを変更する競技は珍しくない。
温暖化とともに不安定な気象条件も大会運営を脅かす。自然がコントロールできない以上は仕方ないが、冬季大会の価値を高めるためには足かせになる。スキー競技もすべて屋内にするなど(現実的ではないけれど)考えなければならないのかもしれない。
多くの競技が五輪のために変わる。テレビ放送に合うように時間を短くし、ルールを公平に分かりやすくする。それは、冬季大会も同じだ。ただ、自然だけは五輪に合わせてくれない。「自然相手」は冬季競技の大きな特徴であり魅力。だからこそ、五輪が自然に合わせていく必要もあると思うが。(荻島弘一)
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
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