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1人で金9個、五輪で絶賛バズ状態「クレボステップ」の衝撃 怪物を育んだスキー大国ノルウェーの凄さ

「100メートル選手がマラソンに勝ち、さらに競歩にも勝つようなもの」

 もう1つ、驚くのはクレボに抜かれるまで1位タイだった金メダル8個の選手の顔ぶれ。距離の「鉄人」ビョルン・ダーリ、バイアスロンの「皇帝」オーレ・アイナル・ビョルンダーレン、距離の「鉄の女」マリット・ビョルゲン。いずれもノルウェー選手だ。

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 ノルウェーがいかにスキー大国か、これまで獲得したメダル数を見れば分かる。「五輪大国」として有名な米国は夏冬合計1219個の金メダルを獲得しているが、冬は1割にも満たない114個だけ。日本も206個のうち冬は17個だけだ(いずれも24年パリ大会まで)。夏に比べて冬の種目は圧倒的に少ないから、当然の数字でもある。

 ところが、冬季で最多148個の金を獲得しているノルウェーの夏の金は65個だけ。全213個の3分の2以上が冬の金メダルだ。距離スキーで52個、距離に射撃を組み合わせたバイアスロンで22個。ジャンプを合わせたノルディック複合で15個、冬季大会で獲得した金メダルの6割以上を雪の上を走って手にしている。

 発祥の国だけあって、スキーに対する思い入れは強い。温暖化の影響もあってスキー人口は減っているらしいが、それでも国民的スポーツとしての人気は変わらず。仕事や学校の後、老若男女がスキーを楽しむ光景は日常的だという。

「ノルウェー人はスキー板を履いて生まれてくる」と言われる。どこかで聞いた言葉だと思った。「ブラジル人はサッカーボールを抱いて生まれてくる」と同じだ。ボールを抱いて生まれればサッカー王国になるし、スキーを履いて生まれればスキー大国になる。

 そんなスキー大好き国民の期待を一身に背負うクレボ。2本の溝の上を平行にスキーを走らせ「クレボステップ」を爆発させるクラシカルだけでなく、スキーの先を開いてスケーティングするフリーも。そしてスプリント種目も長距離もこなす。テレビ解説の「100メートル選手がマラソンに勝ち、さらに競歩にも勝つようなもの」という説明だけでも、とんでもない選手だ。

 昨年にはクレボを追ったドキュメンタリー映画が本人主演で公開された。「クレボステップ」の動画がバズり、世界的な知名度も急上昇している。距離スキーが盛んではない日本ではピンとこないかもしれないが、間違いなく今大会のスーパースターで冬季競技の「顔」。18日のチームスプリントと21日の50キロ、見逃す手はない。(荻島弘一)

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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