高梨沙羅の涙、浅田真央の伝説、ふなき~…冬季五輪は壮大なドラマ “10秒”のために4年の苦難
海外でも涙のドラマ…女神に見放され金メダルまで5大会
ハッピーエンドだけではない。フィギュアスケート女子の浅田真央は2006年トリノ大会に年齢制限で出場できず。金メダルが期待された10年バンクーバー大会ではフリーのわずかなミスで銀メダル。そのストーリーが知られたから、14年ソチ大会ショートプログラムで失敗した後のフリーの完璧な演技が「伝説」になった。
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日本だけではない。スノーボードクロスの女王リンゼイ・ジャコベリス(米国)は06年大会決勝のゴール直前で不要なグラブトリックを入れて金メダルを逃した。世界選手権やXゲームで圧倒的な強さを見せながら五輪の女神に見放され、悲願の金メダルを手にしたのは22年。長いドラマの完結まで実に5大会を要した。
スピードスケートのダン・ジャンセン(米国)のドラマも世界を涙させた。88年カルガリー大会のレース直前に最愛の姉を白血病で失った。金メダル候補はショックから失速してメダルなし。世界記録保持者として迎えた92年アルベールビル大会も500メートル、1000メートルともにメダルを逃した。ラストチャンスとなった94年リレハンメル大会も得意な500メートルで8位、誰もが「終わった」と思ったが、最後の最後の1000メートルで奇跡の優勝。姉と同じ「ジェーン」と名付けた娘を抱いて涙する姿に、世界中が感動した。
アルペンスキー女子滑降で転倒し、ヘリコプターで緊急搬送されたリンゼイ・ボン(米国)も五輪で数々のドラマを残してきた。同じイタリアで行われた06年トリノ大会でも前日練習で負傷しヘリ搬送。競技当日病院を出て競技に出場するなど、大会をドラマチックに彩ってきた。引退から復帰して41歳で出場した今大会だが、そのドラマが今後どうつながっていくのか楽しみになる。
五輪は一瞬だ。ジャンプは踏み切りから着地まで3秒から4秒。2本飛んでも10秒にもならない。それでも、その一瞬のために4年間、時にはもっと長い時間の努力を積み重ねる。競技で見ることができるのは一瞬だが、そこまでの苦難にこそドラマがある。4年に1回だから、それがさらに深くなる。
IOC憲章によれば「オリンピック」の正式名称は「Games of the Olympiad(オリンピアード競技大会)」。オリンピアードは古代ギリシャで行われていたオリンピア祭(古代オリンピック)を起源とする4年を単位とした暦のこと。オリンピアードそのものは4年という期間を指すもので、その1年目に行われるのがオリンピックだ。
冬季大会の正式名称は「Olympic Winter Games(オリンピック冬季競技大会)」で、94年から五輪中間年に開催されている。「オリンピアードの1年目」ではなくなったが、基本的な「4年1区切り」の考え方は踏襲されている。17日間の大会は、その後の4年間の始まり。五輪はつながっていく。
スノボの竹内やノルディック複合の渡部は引退する意向を示しているが、ジャンプの葛西は次に意欲をみせている。今大会のリベンジを次のフランス・アルプス大会で目指す選手もいるだろうし、さらなる栄光を求める選手もいるはず。壮大なドラマは終わらない。(荻島弘一)
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
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