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まだ42年、世界陸上の歴史が「浅い」のはなぜ? 100年超の競技がほとんど…シンプルな理由は

陸上の世界選手権東京大会が13日に開幕。スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」は期間中、スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、今さら聞けない素朴なギモンに回答する連載を展開。第1回は「世界陸上の歴史が浅いのはなぜ?」。

世界陸上、男子100メートルを走る桐生祥秀(中央)、ノア・ライルズ(右)【写真:中戸川知世】
世界陸上、男子100メートルを走る桐生祥秀(中央)、ノア・ライルズ(右)【写真:中戸川知世】

第1回「世界陸上の歴史が浅いのはなぜ?」

 陸上の世界選手権東京大会が13日に開幕。スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」は期間中、スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、今さら聞けない素朴なギモンに回答する連載を展開。第1回は「世界陸上の歴史が浅いのはなぜ?」。

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Q.世界陸上の歴史が浅いのはなぜ?

A.五輪が世界選手権だったから。

【解説】

 陸上の世界選手権が始まったのは1983年。40年以上経っているとはいえ、その歴史は実は「浅い」のです。1896年の第1回アテネ五輪で陸上とともに実施されたレスリングは1904年から、体操は1903年、重量挙げは1891年、射撃は1897年、自転車は1893年からと、ほとんどの競技の世界選手権は100年以上の歴史を数えています。

 陸上でも他競技と同様に世界選手権を行うプランは、ワールドアスレティックス(WA)の前身の国際陸上競技連盟(IAAF)が創設された1912年からありました。しかし、当時すでに五輪が行われていたため、IAAFは13年に五輪を世界選手権とすることを決定。以来、独自の世界選手権を開催しようという話は立ち消えになりました。

 60年代に入って世界選手権開催案が再燃し、76年には五輪プログラムから除外された男子50キロ競歩を世界選手権として実施。80年には女子400メートルハードルと3000メートルの2種目の世界選手権が行われました。さらに五輪実施種目でも世界選手権を実施する案が浮上。陸上同様に独自の世界選手権を行ってこなかった水泳が76年から世界選手権を始めたことにも刺激を受けたのかもしれません。

 80年のモスクワ五輪を西側諸国がボイコット、84年ロサンゼルス五輪を東側諸国がボイコットする中、83年に第1回世界選手権がヘルシンキで行われました。153か国から1355人が参加、80年五輪不参加の米国や西ドイツ、84年五輪不参加のソ連や東ドイツも出場したことで「真の世界一決定戦」として注目されました。決して歴史は古くありませんが、以来陸上競技にとって重要な大会となりました。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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