マラソンの距離「42.195km」の半端はなぜ? 起源はわがまま、今や「195mがレースを面白くする」
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
「シン・オリンピックのミカタ」#86 連載「オリンピック・トリビア」第19回
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
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今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第19回は「どうしてマラソンの距離は42.195キロと半端なの?」。
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Q.どうしてマラソンの距離は42.195キロと半端なの?
A.英国の王女様が目の前でゴールを見たいとわがままを言ったから。
【解説】
マラソンは近代オリンピックが始まった1896年から行われていますが、実は当初は距離もバラバラだったのです。第1回のアテネ大会は36.75キロ、その後も40.26キロ、39.9キロ。古代ギリシャ時代の「マラトンの戦い」で兵士が戦場からアテネまで走り、勝利を伝えた後に絶命した故事が由来ですが、その距離約40キロに合わせて行われていたのです。
正式にルールとして42.195キロになったのは1921年。オリンピックでは100年前の24年パリ大会から採用されました。195メートルという半端な数字のもととなったのは、英国王妃の「わがまま」だとされています。
08年ロンドン大会のマラソンは当初26マイル(41.843キロ)で実施される予定でした、しかし、アレキサンドル王妃が「スタートは宮殿のバルコニーから、ゴールは競技場の貴賓席で見たい」と言ったとか。王妃の注文通りに再設定したコースが42.195キロになったというわけです。
ロンドン大会では1位で競技場に入ってきたドランド(イタリア)が失速。係員の手を借りて失格になった劇的なレースが、マラソンの人気を決定づけました。「195メートルが生んだドラマ」が半端な距離を生んだのです。現役時代に何度も競技場内での激戦を制してきたレジェンド瀬古利彦氏は「195メートルがレースを面白くする」と言います。パリでも最後の195メートルでドラマが生まれるのでしょうか。
ちなみに、195メートルといえば、陸上のトラック(400メートル)約半周分。男子のトップ選手は時速20キロほどで走りますから、35秒くらいで走る距離になります。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)