[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

なんで選手は金メダルを噛むの? 第1号は無名スイマー、東京五輪は自重も…今大会は存分にガブリ

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

メダルを噛むポーズをする柔道の角田夏実ら【写真:Getty Images】
メダルを噛むポーズをする柔道の角田夏実ら【写真:Getty Images】

「シン・オリンピックのミカタ」#57 連載「オリンピック・トリビア」第15回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

【注目】THE ANSWERの姉妹サイト、スポーツを楽しむすべての女性を応援するメディア「W-ANS ACADEMY(ワンス・アカデミー)」はこちら!

 今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第15回は「どうして、選手は金メダルを噛むの?」。

 ◇ ◇ ◇

Q.どうして、選手は金メダルを噛むの?

A.金メダル獲得を信じない選手がいたから。

【解説】

 表彰式でおなじみのメダルを噛むシーン。新型コロナ禍での東京大会はマスクが必須でもあり、感染リスクもあって自重されたこともあって(物議を醸した市長もいましたが)、今大会は思う存分噛んでいます。

 では、メダルを噛んだ最初の選手は誰か。第1号と言われるのが、88年ソウル大会競泳男子200メートル自由形で優勝したオーストラリアのアームストロング選手です。世界ランク24位の無名スイマーが、スーパースターのビオンディ(米国)とグロス(西ドイツ)を破って、まさかの優勝。記者席がパニックになるほどの大番狂わせでした。

 スタンドでは「赤鬼」と呼ばれたローレンスコーチが大暴れ(オーストラリアのコーチは激情家が多いのです)。本人も「まさか、勝てるなんて」と興奮状態でした。当時はメダル有力な日本選手も少なく(鈴木大地の金は5日後)、翌日の新聞1面を飾る「事件」だったのです。

 表彰台で金メダルを手にしたアームストロングは思わずガブリ。金は軟らかいので噛めば分かる(実際はメッキなので関係ないですが)から「本当に金か確かめたかった」と言われるのは本当でしょう。それほど興奮していたのは、間違いありません。

 日本人選手で初めて噛んだのは96年アトランタ大会柔道の中村兼三選手。カメラマンのリクエストでした。メダルと表情を同時に大写しにするのに都合がいいからです。以降、カメラマンの要望に応えて野村忠宏や高橋尚子が噛み、それが選手の間に定着したようです。

 ちなみに、かつてはメダルは神聖なもので、噛むことなど許されない雰囲気でした。84年ロサンゼルス大会レスリングで優勝した富山英明氏(現日本協会会長)は、自著「夢を喰う」の表紙でカメラマンの提案に応じ金メダルをがぶり。「きっとJOCには怒られるだろうけど、引退したから関係ないと思った」と述懐しています。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


W-ANS

荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集