敗れた男子バレー高橋藍に気になる動き 狂った日本の歯車「数字には表れないものの…」【加藤陽一の目】
勝負を分けたのはセッターへの返球
その高橋選手に加えて、キャプテンの石川選手、オポジットの西田選手らにスポットが当たりますが、今の強さの源はセッター関田選手にあると思っています。高い技術で黙々と若いアタック陣を操る。自らは裏方に徹し、若い攻撃陣のために動く。72年ミュンヘン大会で金メダルを獲得した時の猫田さんにイメージが被るんです。
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ただ、そのセッターが最大限に技術を発揮できるのも、レシーブがいいから。関田選手なら多少レシーブが乱れても技術でカバーできるのですが、どうしても攻撃の選択肢は限られてしまう。苦しい体勢でサイドに上げたトスを狙われ、ドイツにブロックを許す。そんな展開が増えたのも、高橋選手が本調子でなかったからです。
逆に、ドイツはセッターへいいボールが返っていたため、センターを効果的に使うことができた。その差が、勝敗を分けました。
ただ、まだ1試合なので、悲観する必要もありません。メダルを狙う日本にとって、リーグ戦はまだ準備段階。勝ち負けよりも、決勝トーナメントに向けて大会に慣れ、経験を積み、コンディションを上げていくことが大切です。
大きな舞台ですから、12人全員で戦う必要があります。高橋選手の調子が上がることはもちろんですが、大塚選手や甲斐選手が大会を通して成長することも期待しています。
試合後、石川選手がコート上ですぐに選手を集め、ミーティングをしていました。この試合から課題を得て、次戦以降に修正していくことが大事だし、そうチームを持っていけるのは、キャプテンの石川選手しかいません。
東京大会と違って、スタンドには多くの観客がいます。日本だけでなく、世界的にも人気の高いのが今の日本代表です。次戦以降、大声援に力をもらう日本に期待したいです。
(THE ANSWER編集部)