日本2失点目で議論を呼んだGK鈴木彩艶パンチングの評価 佐藤寿人「厳しい言い方をするとあれは…」
サッカー・アジアカップカタール大会は14日、グループリーグ初戦で世界ランク17位・日本が同94位・ベトナムに4-2で白星発進した。一時逆転を許しながら再逆転で勝利を飾ったアジアNo.1への船出。「THE ANSWER」は中継局のレポーターとして現地取材し、この試合をピッチレベルのゴール裏から見守った元日本代表FW佐藤寿人氏の解説を掲載する。よもやの苦戦を強いられた原因から、議論を呼んだ2失点目のGK鈴木彩艶の評価、そして苦しみながらも勝ち点3で得た収穫まで分析した。(取材・構成=藤井 雅彦)
ゴール裏で見守った元日本代表FW佐藤寿人氏が「THE ANSWER」で解説
サッカー・アジアカップカタール大会は14日、グループリーグ初戦で世界ランク17位・日本が同94位・ベトナムに4-2で白星発進した。一時逆転を許しながら再逆転で勝利を飾ったアジアNo.1への船出。「THE ANSWER」は中継局のレポーターとして現地取材し、この試合をピッチレベルのゴール裏から見守った元日本代表FW佐藤寿人氏の解説を掲載する。よもやの苦戦を強いられた原因から、議論を呼んだ2失点目のGK鈴木彩艶の評価、そして苦しみながらも勝ち点3で得た収穫まで分析した。(取材・構成=藤井 雅彦)
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日本とベトナムの力関係を考えると、先制に成功した時点である程度ゲームをコントロールできる展開になるだろうと想定できました。その青写真が崩れたのは、セットプレーから喫した2失点が原因です。
1失点目は、CKに対してストーン役の南野拓実選手が動いたことでスペースを与えてしまった。ベトナムからすると、高さでは勝てないのでニアサイドのエリアに速いボールを入れるという明確な狙いがあったのでしょう。質の高さと準備をしっかりと出してきた形ですが、その失点を招いたのは日本のセットプレー守備の拙さでもあります。
2失点目も、ベトナムが入念に準備してきた形だったのでしょう。FKから対角に長いボールを入れてきた時点で、最終的に得点を奪った選手は折り返しを受けるためのランニングを開始していました。日本の選手たちの目線はファーサイドにあって、完全に背中を取られてしまった。デザインされたセットプレーで逆転を許してしまいました。
折り返しのボールなのか、あるいはシュートだったのか。いずれにしても鈴木彩艶選手の弾いたボールが弱かった。厳しい言い方をすると、あれはストライカーにとって一番美味しいボールがこぼれてきたことになる。前半、僕は日本のゴール裏から見ていたけれど、彼の能力を考えれば難しいプレーには感じなかったので、このミスを糧にして成長しなければいけません。
ただ、ミスは鈴木選手に限った話ではありません。対角に入れた高いボールに競り負けてはいけなかったし、折り返されて背中を取られたのはチーム全体のエラーでもある。ゲームを通して主導権を握っていたので、守備機会が少ない難しさはあったと思います。そういった状況でも集中しながら守備のスイッチを入れる重要性を学んだ2失点です。
そんな試合展開で印象的だったのは、日本ベンチの反応でした。結果的に前半だけで5つの得点が生まれた中で、座っていた選手たちが立ち上がったのはアディショナルタイムに中村敬斗選手が決めたゴールの時だけ。シーソーゲームのようなスコア推移でも終始落ち着いていて、雰囲気を落とす様子はまったくない。先制しながらも逆転されれば、少しは慌てたり、ピッチの選手に声をかけようとするもの。そういった素振りを一切見せないあたりに、日本の経験値と立ち位置、そして目線の高さを感じました。