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涙の8強敗退なでしこ、世界一に届かなかった理由 永里亜紗乃「スコア以上の差、前半の内容が顕著」

サッカーのFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会は11日、ニュージーランド・オークランドで行われた準々決勝で日本代表・なでしこジャパンがスウェーデンに1-2で敗れ、8強敗退。1次リーグから全勝だった快進撃は止まった。元日本代表FWで2015年W杯カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんは「スコア以上の差を感じる試合」と指摘し、敗因を分析。来年のパリ五輪、4年後の次回大会へ向け、エールを送った。(構成=藤井 雅彦)

スウェーデンに1-2で敗れ、涙するなでしこジャパン【写真:Getty Images】
スウェーデンに1-2で敗れ、涙するなでしこジャパン【写真:Getty Images】

2015年W杯カナダ大会準優勝メンバーの元日本代表FW永里亜紗乃さんが解説

 サッカーのFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会は11日、ニュージーランド・オークランドで行われた準々決勝で日本代表・なでしこジャパンがスウェーデンに1-2で敗れ、8強敗退。1次リーグから全勝だった快進撃は止まった。元日本代表FWで2015年W杯カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんは「スコア以上の差を感じる試合」と指摘し、敗因を分析。来年のパリ五輪、4年後の次回大会へ向け、エールを送った。(構成=藤井 雅彦)

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 1-2というスコア以上の差を感じる試合でした。

 フィジカルと一言でいっても具体的にはたくさんあります。単純な体の強さだけでなく、パススピードやロングボールの飛距離にもフィジカルは反映される。パススピードが速い環境でプレーしていればトラップの技術も自然と向上するでしょう。スウェーデンはいろいろな部分の基本スキルで日本を上回っていました。

 その差が顕著に表れたのが前半の内容です。スウェーデンは高い位置からプレッシャーをかけてきましたが、それは日本がやりたかったこと。自陣に押し込まれる時間帯が長くなり、カウンターを仕掛ける場面で相手ゴールへの距離が長くなってしまいました。

 押し込まれても相手のサイド攻撃を封じることができれば違う展開にできたはず。ですがスウェーデンの右サイドからの攻撃を警戒していても止められなかった。遠藤純選手ではなく杉田妃和選手が先発した理由もそこにあると思いますが、いずれにせよ1人で守るのは難しい。周囲との連係が欠かせない状況で、警戒していても守り切れないのは、やはり差があったからでしょう。

 失点シーンを切り取っても、相手のストロングポイントの1つがセットプレーなのは誰もが理解していたこと。1失点目は山下杏也加選手が一度弾いてからの相手の二次攻撃にマークがズレてしまいました。これは今回初めて露呈したことではなく、格上のチームと対戦する際に散見される課題です。

 後半途中からは日本の時間帯になりました。ラウンド16を戦ってからの試合間隔が1日短いスウェーデンに疲れの色が見えてきた影響もあり、日本は若い力がチームに勢いをもたらしてくれました。特に前線の藤野あおば選手はいろいろなところに顔を出し、ボールを持てば気持ちを前面に押し出していた。ああいったプレーに周りも引っ張られていきます。

 その結果として1点を返し、その他にも多くのゴールチャンスを作りましたが、全体的には再現性の低い攻撃が多かった印象も否めません。即興的なプレーが多く、共通理解を持って崩せていた場面はあまりなかった。前半のように相手に主導権を握られる展開では攻め手がほとんどなかったように、ゴールを奪うための攻撃にも確実に差が存在していました。

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