敗退なでしこはすべて出し切って負けたのか 永里亜紗乃「組織の責任はあまりに重い」
「負け方」で背負った重い十字架、その歩みを期待とともに見守りたい
ベスト8敗退という結果と、進歩が見えない内容に危機感を抱いています。せっかく視聴してくれている方の印象に残らない負け方では、日本の女子サッカーはつまらないと思われてしまいます。二度と見てもらえなくなってしまうかもしれない。そういった危険をはらむ現在地であることを本当の意味で理解できていたのか。マネジメントの不足は明らかで、監督やスタッフ、そして組織としての責任はあまりにも重い。
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ちょうど10年前、なでしこジャパンはワールドカップ優勝という偉業を成し遂げ、一大ブームを巻き起こしました。日本の女子サッカーにとって大きな転機で、その勢いのまま翌年の2012年に行われたロンドン五輪では銀メダルを獲得しました。強いだけでなく見ている人に感動を与え、心を動かすことのできるチームでした。
時代は移り変わり、選手のほとんどが入れ替わりました。それなのに最近になっても「なでしこジャパンといえば、澤穂希選手」と話している人が多い。今大会はそのイメージを払拭する大きなチャンスでしたが、残念ながら叶いませんでした。このままではなでしこジャパンは忘れ去られ、無関心になってしまいかねません。
東京五輪は終わりますが、日本の女子サッカーは続きます。9月にはWEリーグが開幕し、2年後にはW杯、そして3年後にはパリ五輪が開催されます。この悔しさと経験を生かし、次の戦いのつなげること。
重い十字架を背負った彼女たちの歩みを、期待とともにこれからも見守りたいと思います。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)