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なぜゴルフのスロープレーがいけないのか 北田瑠衣の主張「日本ツアーでも罰金を」

「THE ANSWER」は各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」をスタート。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。

北田瑠衣が「スロープレーの是非について」解説【写真:荒川祐史】
北田瑠衣が「スロープレーの是非について」解説【写真:荒川祐史】

「THE ANSWER スペシャリスト論」女子プロゴルファー・北田瑠衣

「THE ANSWER」は各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」をスタート。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。

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 今回は「スロープレーの是非について」。米ツアーでは高額な罰金が科せられるなど厳しい処分の対象となるが、そもそもプレーが“遅い”ことは一体何がいけないのか。ゴルフをあまり知らないライト層のファンにもわかるよう、北田が選手の立場から解説する。

 ◇ ◇ ◇

 まず前提として、プレーするうえで周りに迷惑をかけてはいけません。スロープレーについては選手間でもよく話題に上がります。やはり一番大きいのは一緒に回っている選手に与える影響でしょう。プレーのリズムが変わったり、リズムを乱されたりすることもあります。プロの場合通常3人で回ります。それぞれの選手が自分の間合いやルーティーンを持っているのですが、他の選手のテンポによって自分のプレーに影響がでることが多いです。

 例えば優勝争いをしている時など、すごく集中しないといけないショットやパットの時に時間をかけるのはいいと思います。それは同じ組の選手にも伝わるものです。ゴルフ規則が定める「1打40秒以内」でのプレーが一つの目安となりますが、大事な場面であれば1打にかける時間が40秒をオーバーしてもいいとは思います。ただ毎回のように、使っていい時間ぎりぎりまでプレーしている選手も中にはいます。そういう選手とのペアリングになると嫌ですね。

 ツアーとして、プレーファーストを徹底するようになったのはここ何年かです。プレーが遅い選手に対してイエローカードを出すなど、対策はされていますが、なくなったわけではありません。先月(4月)行われた大会では、本来オナーである選手よりも先に別の選手が打つということもありました。私はすごくいいと思います。2019年にゴルフ規則が改訂され、プレーファーストのために準備のできた選手から打つことが可能になりました。ゴルフは個人スポーツですが、一緒に回るプレーヤーにも配慮しなければなりません。

 先に打ちたいと思ったことは私もあります。前の組と1ホールの間隔が空くと、スロープレーとしてストロークが計測の対象となります。対象になると該当の組に競技委員が付くのですが、やはり気になってしまいます。どうしてもリズムが崩れてしまいます。競技委員が来たときだけプレーが速くなって、それ以外の時は極端にゆっくりになる選手もいます。それをあえて考えてやっている選手もいる。同伴競技者のリズムは崩すのが作戦だとしたら、プロとしてどうなのかなと思います。

 ただ私自身、どちらかと言えば迷惑をかけたほうが多かったかな……。実際にプロになって右も左も分からない時に先輩プロから「遅いわよ」と指摘されたこともありました。自分では気付いていなかったので、言ってもらってありがたかったです。

 それ以来、ショット間での歩くスピードを速くしたり、次のショットで持つクラブの番手を考えながら歩いたり、徹底するようになりました。前の組との間隔が空くと、全体的にスピードアップが必要で小走りになり、自分のリズムもよくわからなくなってしまったこともあります。もう少し落ち着いてショットを打てば良かったなと後で思いますが、スロープレーは自分だけでなく、周りにも影響を与えてしまっているのです。

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北田 瑠衣

THE ANSWERスペシャリスト プロゴルファー

1981年12月25日生まれ。福岡市出身。10歳でゴルフを始め、沖学園高(福岡)時代にナショナルチーム入り。02年のプロテストで一発合格し、03年プロデビュー。04年はニチレイカップワールドレディスでツアー初優勝し、年間3勝で賞金ランク3位。05年、宮里藍とペアを組んだ第1回女子W杯(南アフリカ)で初代女王に。06年から10年連続でシード権を保持した。男女ツアーで活躍する佐藤賢和キャディーと17年に結婚し、2児のママとして子育てに奮闘中。

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