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一着50万円超も、洗濯は水洗い 中野友加里が語る「フィギュアスケートと衣装」の秘密

「実はすべて手洗いだった」など、衣装にまつわるエピソードを語った中野さん【写真:松橋晶子】
「実はすべて手洗いだった」など、衣装にまつわるエピソードを語った中野さん【写真:松橋晶子】

悩みは汗染み、洗濯は水洗い「装飾が取れてしまうことがあります」

――それだけ繊細で細やかな作りだと、ハプニングもあるのではないですか?

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「よく起こるのが、汗で色が変わってしまうこと。大会では、すごく汗をかくんです。9月のシーズンインから翌年3月まで、多い人で10大会くらいに出場するのですが、シーズンの始まりと終わりで汗で衣装の色が変わってしまいます。軽量化を求めすぎた結果、耐久性の問題もあり、一度、ジャンプで転んでしまい、生地の一部が割けてしまったこともあります。結局、その部分だけ作り直してもらいました。

 今でも鮮明に覚えているのは2005年のスケートカナダでジェフリー・バトル選手(カナダ)が演技中に太ももの部分がぱっくりと生地が破れてしまいました。選手本人は素晴らしい演技をしているのですが、そうなると見ている観客も関係者も気になってしまうもの。だから、衣装が破れたり割けたりということはできるだけ起こらないようにしたいです」

現役時代の中野さんのこだわりの衣装【写真:本人提供】
現役時代の中野さんのこだわりの衣装【写真:本人提供】

――汗染みの苦労があるとのことですが、クリーニングはどうするのですか?

「実はすべて水洗いなんです。(洗濯機は)装飾が取れてしまうことがあります。私は当時、家事が苦手だったので、申し訳なく思いながら母にやってもらいました。ちょっとでも間違えるとシワになってしまうので、脱水も大変だったと思います。母はうまく乾燥させるためにスチームをしながらアイロンをかけていました。

 特に、私がこだわっていた絹はシワになりやすい素材なので、軽さばかりを重視すると大変なこともあります。遠征の際はハンガーに吊るした状態で持って行けないので、畳んで小さくまとめてケースに入れるのですが、一度くしゃくしゃにしてしまったことがあって、そのまま大会に出たら母に注意されました(笑)」

――衣装ひとつ注目しても、フィギュアスケートの新たな楽しみが生まれそうです。

「一番はデザイン。衣装について、本人がどういう思いでこだわり、作っているかが分かれば、より一層楽しめると思います。さらにどういうヒロイン、役柄を演じているストーリー性を理解し、プログラムに共感しやすくなるのではないでしょうか」

(後編の「フィギュアスケートと靴」は24日に掲載)

■中野友加里/THE ANSWERスペシャリスト

 1985年生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子選手として史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を務めるほか、審判員としても活動。15年に結婚し、2児の母。自身のYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」を開設し、人気を集めている。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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中野 友加里

THE ANSWERスペシャリスト フィギュアスケート解説者

1985年8月25日生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け、「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位など国際舞台でも活躍。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に現役引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を行うほか、審判員としても活動。15年に一般男性と結婚し、2児の母。YouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」も人気を集めている。

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