箱根駅伝の注目区間「5、6区」 上り下りだけじゃないワナ、手袋の取捨選択もカギに…
5、6区に潜む低体温症のリスク…袖の長さ、手袋の調整&取捨もカギに
最後は、箱根駅伝といえば、の山上りの5区、山下りの6区についてです。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
私たちトレーナーは、選手たちの体温調節にも気を配ります。特に約860メートルの高低差を駆け抜ける5区、6区は、コース上の気温差が激しく、天候も変わる可能性が高い。平坦でないとあれば温度の予測もつきにくく、低体温症を起こす選手も少なくありません。
寒くても走っていると皮膚の表面にうっすらでも汗をかきます。汗で肌がしめると腕振りや脚を動かすたびに、冷たい外気温が肌を冷やします。お風呂上りに水滴がついた肌で扇風機の前に立つと、涼しさを感じますが、それと同じ状態です。しかも外気温は凍えるほど低い。ウエアの袖の長さはもちろん、アームウォーマーやハイソックス、グローブを使うか使わないかだけでだいぶ、感覚が変わるので、私たちは事前に選手と相談しながら細やかに対応します。
また、気温が低い山の上は雪が降ったり、路面が凍り滑りやすくなったりするのもやっかい。実は路面が硬いことよりも滑りやすいほうが選手のエネルギーを消耗します。滑らないように体をコントロールしながら走ることは、とても負担が大きいのです。
以上、5区や6区はランナーにとって非常に難しいコースだとおわかりいただけたのではないでしょうか。
今大会は混戦が予想されているそうです。どのような結果になるのかを見守りつつ、箱根駅伝を楽しんでください。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)