世界水泳福岡・ハイダイビング

　世界水泳福岡（テレビ朝日系で中継）は27日、ハイダイビングの決勝に相当する3-4ラウンドが行われ、初出場の荒田恭兵（富山県スポーツ協会）が計222.65ポイントの20位（全23人）だった。男子はビル9階相当の高さ27メートルから飛び込む競技。日本人唯一の競技者である荒田は、世界水泳の大舞台で空を舞い、「僕の後ろには本当に多くの人の支えがある」と感無量で頭を下げた。

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　初めて体感する歓声をかみしめた。27メートルの台に立った荒田。名前がコールされると、日本人と海外ファンの歓声が入り混じる。多くの日の丸も揺れていた。静寂の中、踏み切った直後から体をひねり、回し、入水。衝撃音を響かせた瞬間、再び歓声が沸き上がった。

　ダイバーの意識確認に笑顔でOKポーズ。陸に上がると、ひと際大きな歓声を浴びた。「一人しかいないとうたっているけど、僕の後ろには本当に多くの人の支えがある。自分を奮い立たせてくれます。そのおかげで世界水泳の舞台に出られた。本当にありがとうございました」。客席に向かって深々とお辞儀。感謝を込めると、拍手の音量はさらに増した。

　2017年日本選手権シンクロ高飛込（10メートル）で優勝するなど、もともと飛込競技の実力者。時速100キロに及ぶ速度の入水は「今でもめちゃくちゃ怖い」と率直に語る。必ず足から入水しなければならないが、ひとたびバランスを崩せば大怪我だ。国内には練習施設がなく、競技者は自分だけ。崖を探し、許可を得た上で安全に配慮しながら練習。恐怖はゼロにはならない。だが、それ以上の爽快感を求め、過酷な競技にトライした。

　大会前はTBS系「クレイジージャーニー」で特集を組まれ、一躍注目の的となった。「反響はとんでもないです。いろんな人から『見てるよー！』ってメッセージをいただいた。それだけの注目に恥じない演技をしないといけない」と責任感がより強くなった。

　25日の1-2ラウンドは22位で突破した27歳。「比べものにならないくらい声援を浴びました。これからももちろん続けたい。現時点で出せるパフォーマンスは出せました。まだ伸びしろがあるので、もっともっとトップ選手にくらいついていきたい」と笑顔で上を見据えた。