不振を機に「明るい色柄のスポーツブラを着けるように」 アンダーウェアでも変わる女子選手のパフォーマンス
北京後から「明るい色柄のスポーツブラを着けるように」
「今、振り返っても、北京大会で何をしていたのかの記憶がありません。一つ一つのシーンが記憶に残らないぐらい、目の前のことしか考えられなかった」
北京大会はビッグエアが11位、スロープスタイルでは予選敗退に終わりました。疲弊した鬼塚選手はしかし、ともに大会に臨み、メダルを獲得した冨田せな選手(女子ハーフパイプ銅メダル)、村瀬心椛選手(女子ビッグエア銅メダル)の姿を目前にしてやっと、4年間の悪夢から目覚めることになります。
「大会中は、『色んなことを犠牲にしてきたから』と、大事なところで自分を追い込み、プレッシャーばかり感じていた。でも、メダルを取った選手たちの姿は、本当にスノーボードが大好きで、大会を楽しんでいたように見えました。
この考えをやめない限り、もうスポーツは続けられない。スノーボード自体を楽しめるような選手じゃないと、やっぱり五輪でメダルなんて取らせてくれないし、彼らと同じ景色は見られない、と感じました」
結果が同じなら、明るい気持ちでもう一度、挑もう――。自身を縛り付けていたネガティブな思考に気づくと、鬼塚選手の気持ちは一気に切り替わりました。
「だから北京後から、大会中は明るい色柄のスポーツブラを着けるようになったんです。これも、スノーボードを楽しみたい、という気持ちの表れなんです」
今年3月、ジョージアで開催された世界選手権に出場した鬼塚選手は、ビッグエアで準優勝、スロープスタイルで3位の好成績を記録。2種目でメダルを獲得し、最高の形でシーズンを締めくくりました。
「昨シーズンは、課題を潰しながらも、新しいことが出来たときの楽しさを思い出せたシーズンでした。
今の目標はもちろん、2026年のミラノ五輪出場です。次こそはメダルを獲りたい。そして、記憶に残る大会にしたいですね」