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「結婚したから幸せ、ではなく…」 女性アスリートの人生を豊かに…“多拠点婚”の先に描く未来――カーリング・吉田知那美

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を展開する。今年は「心とカラダを満たす『幸せ』の選択」をテーマに、3日から12日まで10日間にわたってアスリートのインタビューを掲載。高みを目指し、心身両面で全力を尽くすアスリートたちの姿を通して、一人ひとりの女性が“自分らしく”、幸せな日々を過ごすためのヒントを探す。

THE ANSWERのインタビューで「多拠点婚」について語った吉田知那美【写真:増田美咲】
THE ANSWERのインタビューで「多拠点婚」について語った吉田知那美【写真:増田美咲】

「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」6日目 吉田知那美インタビュー後編・多拠点婚

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を展開する。今年は「心とカラダを満たす『幸せ』の選択」をテーマに、3日から12日まで10日間にわたってアスリートのインタビューを掲載。高みを目指し、心身両面で全力を尽くすアスリートたちの姿を通して、一人ひとりの女性が“自分らしく”、幸せな日々を過ごすためのヒントを探す。

 6日目はカーリング女子日本代表として、五輪2大会連続のメダリストとなった吉田知那美(ロコ・ソラーレ)の後編。2022年北京五輪で銀メダルを獲得した5か月後、31歳の誕生日に結婚を発表。SNSの文面に書かれた「多拠点婚」という選択について、3年半の月日が流れた今、あらためて聞いた。(取材・文=二宮 寿朗)

 ◇ ◇ ◇

 多拠点婚は、苦渋などではなく能動的な選択であった。

 ロコ・ソラーレの吉田知那美さんは2022年7月、全日本スキー連盟アルペンチームの男子チーフコーチを務めるアルペンスキー元日本代表の河野恭介さんと結婚。お互いに拠点を海外に置くため、それぞれのベースを崩すことなく、そしてお互いを尊重しつつ、有意義な結婚生活を送っている。

「私の拠点がカナダになり、基本的には1年のうち9月から3月まで過ごします。夫もその期間、オーストリアに拠点を置いていて、それ以外は長野・野沢温泉か、北海道・北見のどちらかが拠点になりますね。

 人生丸ごと考えると、仕事が大事、家庭が大事っていろいろあるとは思うんですけど、そのすべてが大事であって、必ずしも私の人生で大事なことに1番、2番と不動の順位をつける必要はなく、そのときどきで優先順位が変わってくる。夫も私も、34歳時点の優先順位は競技が一番上にあります。私は競技者としてカーリングに励んでいくこと、夫は指導者として世界で戦えるアルペンレーサーを育てていくこと。これらは高齢になってからではできないじゃないですか。今しかできないことを先にやっておこうと、話をしてこの生活スタイルを決めました。一緒に人生を歩んでいくうえで、『夫婦』というチームとしての方針を出し合ったんです。ベストアンサーを出すには本音が大事になるので、お互い素直でいるようにはしています」

 多拠点婚をスタートさせて3年半が過ぎた。年末年始はカナダとオーストリアを行き来して、夫婦で一緒に過ごす時間をつくったという。国内拠点は河野さんが野沢温泉で、吉田さんは北見。こちらも時間を見つけては往来して「夫婦タイム」を設けるようにしている。

 住む場所は遠くとも、心は近い。一緒に生活できない時間が長いからこそ、意識していることがあると吉田さんは語る。

「やっぱりビデオ通話が多くなります。普段一緒にいる夫婦であれば、お互いの気持ちは言葉にしなくてもわかる、なんてよく言われてますよね。でも私たちは傍にいないからつかめないこともある。ビデオ通話では人間の五感のうち聴覚と視覚しか使えない。だから(ビデオ通話でも)大好きだよ、愛してるよ、と全部、言葉にしています。そして一緒にいる時は、手を繋いで歩くようにしています。夫婦チーム目標に、おじいちゃん、おばあちゃんになっても健脚健康で、手をつないでお散歩するというのがありまして(笑)。そんな夫婦になっていくためにも、ずっと手をつなぎ続けていたいですね。

 元々私たちは、出会った時はお互いにアスリートで友達の期間も長かった。アスリートは寝ることも、食べることも、休むこともすべて競技のため。ダラダラしているように見えても、試合のために休息していなきゃいけない時だってあります。アスリート同士なので、そこは完全に理解できます。また、同じ競技の人だと話せないことも、違う競技の人だから話せたり、弱さを出せたりしたこともありました。人生のパートナーになってからも、たくさん話をしています。私は私という人間で、夫は夫という人間。(考え方が)違うからお互い好きになりました。違うっていうことを怖がらなくていい。私たちの限られた人生を一緒に過ごしていくなかで、違った2人が話し合って優先順位を決めながら、一緒に幸せになっていくために選択していく。チームとして最適解を出していこうね、というのは結婚前から話をしていました」

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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