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「負けが怖い時もある」 無月経を経て「+4kg」決断…150連勝中の金メダリストが探す本当の強さ――レスリング・藤波朱理

57キロ級で挑んだU23世界選手権【提供:United World Wrestling/IMAGO/アフロ】
57キロ級で挑んだU23世界選手権【提供:United World Wrestling/IMAGO/アフロ】

階級変更の難しさを実感し、見つめ直した初心

「+4キロ」の差は、果たしてどれほどあるのか。試合に向けた減量が楽になったのと引き換えに、やはり難しさは感じている。

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「コンタクトスポーツの4キロ差はかなり大きくて、本当にモロにフィジカルの差を感じます。スピードや技術面はあまり変わらない。やっぱりフィジカルの部分ですね」

 組んだ時に感じる相手の力の強さや重さ。そこはやはり53キロ級の時とは違うという。そのなかで藤波の武器と言えば、タックルに入る時のスピードやタイミングの上手さだが、「(体重が)重くなるのでスピードが落ちるんじゃないかと心配されるかもしれないですけど、やっぱり自分の武器ですし、体重が増えてもスピードは落とさずに、というのを意識した体づくりをしています」と語る。

 実際にウエートトレーニングの量を増やしながら、練習で階級の重い選手や男子選手と組む機会も増やして、57キロ級の戦いに適応する体づくりを進めてきた。

 その成果は、57キロ級で初の公式戦となった昨年10月のU23世界選手権(セルビア)、同12月の全日本選手権での優勝という形で表れる。中学時代から続く連勝記録も、ついに節目の「150」に到達した。

 新たな階級で、公式戦のマットに立ったからこそ見えてきたものがある。

「53キロ級のオリンピックチャンピオンというのはもうないので、またゼロからのスタートという感覚でした。自分がなぜレスリングをしているのかと言えば、やっぱり楽しいから、好きだから、強くなりたいから。これが私の初心であって、この気持ちは絶対に忘れたらいけないなと」

 1人のアスリートとして、自らの原点を見つめ直すきっかけにもなった57キロ級への転向。「だから……」と、藤波は言葉を選びながら続ける。

「周りの方に連勝記録について言ってもらえることが多いんですけど、決してそのために(レスリングを)やっているわけじゃなくて。本当に自分は楽しいから、ただ強くなりたいからやっていて、結果として、たまたま記録がついてきている感覚なんです。でも、意識していないと言っても意識してしまう時はありますし、負けというものが怖い時もある。ですが、そういう時こそ初心に帰り、『自分は何のためにレスリングをしているのか』という気持ちを大切にしています」

 純粋に競技を楽しむ気持ちを強調する言葉の裏には、それだけ周囲からの期待が重くのしかかっているという本音も見え隠れする。22歳にして、圧倒的な成績を収めているからこそ味わう「負けられない」というプレッシャー。階級を「+4キロ」上げたとしても世間が藤波を見る目は変わらず、その重圧たるや常人には計り知れないものだろう。

 そんな現実に今、どう向き合っているのか。

「弱い自分というのは、自分の中に必ずいます。かつての自分は1人で戦っているような感覚でしたが、今はそうではなくて。私の周りには本当に愛のある人たちが多いので、そういう人たちを頼って、力を借りて、一緒に戦っていければ、よりレスリングを楽しむことができるのかなと思っています」

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