人のせいにしても人生は好転しない 30万人超に支持されるSNS発信、原点は「どん底」の経験――カーリング・吉田知那美

ソチ五輪後に訪れた人生最大のターニングポイント
SNSの発信で気をつけているのは、「最低限、身の回りの大切な人を傷つけないこと」。すべての人に好かれることは不可能だが、身の回りの人を不用意に傷つけないということは自分の想像力で回避できる。自分の身にネガティブなことが起こったとしても、それを「外」に向けるのではなく、「内」に向けることが自然と身についている。当たり前かもしれないが投稿を見た人が嫌な気持ちにならないかの想像はしたうえで発信するようにしている。
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吉田自身の経験によるところも大きい。彼女は初出場となった2014年のソチ五輪後に、所属していた北海道銀行フォルティウスから戦力外通告を受けた。「マックスどん底でした」と振り返る。
「人生がうまくいかないことを、どこか人のせいにすることで消化しようとする自分がいました。(五輪後に)ソチで活躍した選手みたいにメディアでも取り上げられているのを帰国後にテレビで見たりしましたが、実際はもうクビになっていたので、そのギャップがとても恥ずかしくて悲しくて。だから隠れたい、人と会いたくないと思うようになって……。
そんな時にいろいろと教えてくれたのが本でした。『人生を好転させたいんだったら自分を変えるしかない』という言葉に触れたのが私自身、すごく大きかったですね。この失敗があって本当に良かったと思えるようにしたほうがいいって考えました。人生でうまくいっていない時は、何かを教わるために起こっている、と。おかげで私の人生、深みが出るかなあって(笑)。一番のターニングポイントになりましたし、今では私の人生において最も感謝している出来事の一つです」
この後、ロコ・ソラーレとの出会いがあり、人間としての「深み」がアスリートとしての「深み」にもつながっていく。
人のせいにしたって自分の人生が好転していかないことを、吉田は経験として持っている。SNSにおいても彼女のマインドが映し出されている。30.9万人という数字は、その“共感値”と受け止めることもできる。
インターネット上における誹謗中傷は世界的な問題になっており、アスリートに対しても深刻化している。ミラノ・コルティナ五輪では「パンセクシュアル」を公表したフィギュアスケート女子シングルのアンバー・グレンや、男子シングルで8位に終わったイリア・マリニンもその被害を受けていたことが報じられた。吉田も同じアスリートとして心を痛めている。
「JOC(日本オリンピック委員会)としても重きを置いて取り組んでいる問題で、私もアスリート委員会主催の講習に出席しました。お話してくださった弁護士の先生が『誹謗中傷を受けて一番良くない状況は、選手たちが自分を責めること。あなたたちが有名になったのは、一生懸命に練習し続けた結果に起こったこと。これまでの人生において一生懸命、努力をしてきたからであり、皆さんには何の非もありません』と言い切ってもらえて。誹謗中傷されても仕方ない、なんて思わなくていいということ。法の整備などはこれからだとは思いますが、選手たちが見たくないものを見なくていいようにすることも大事かなとは思います。SNSは発信するだけでも可能ですから。今の状況がどんどん良くなっていくことを願っています」
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