「試合中に経血が漏れないか不安です」 登坂絵莉が向き合った学生選手の切実な悩み
「試合中の経血が漏れないか気になる」と不安を抱える学生選手の悩み
伊藤「そもそも月経期間で、パフォーマンスは変わるものなんですか?」
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須永「これも、人によります。痛みが強い人は落ちるし、フォームが変わるかもしれません。お腹が痛いと前かがみになってしまうので。でも、PMS(月経前症候群)の症状が強い人は、生理が始まると逆にコンディションが良くなる人もいいます。月経は基本的に病気ではないので。そこで運動を中止しなければいけないという前提はないです」
【質問】今後、低用量ピルの服用を考えています。まず、最初のステップはどうしたらいいのでしょうか?
須永「まずは信頼でき、頼れる婦人科を探すこと。お母さんが行っている病院でも構いません。できれば、アスリートの練習状況も理解してくれる人と出会えるといいですが。まずは婦人科を受診し、ピルを飲むことが本当に必要か、そうじゃないかを見極めてほしい。そして、試合前に急に行くのではなく、大切な時期の3か月前くらいには受診することを勧めます。本当に飲むか飲まないかは親、指導者と相談して決めてもらいたいです」
伊藤「現場にいると、選手だったら最初にコーチに言うか、病院に言うか考えますね。私の場合はコーチに相談する前に病院に行って、その後、コーチに報告しました。コーチとの関係性もあると思いますが、でも飲むなら言った方がいいですよね」
須永「(ピルの服用で)コンディションにまた影響してくるかもしれないですし、副作用も人によっても薬によっても違う。ピルに関わらず、薬を服用することがあれば、指導者に必ず伝えた方がいいと思います」
【質問】試合中に経血が漏れて、ユニフォームに付かないか気になり、不安になる時があります。長時間、お手洗いに行けない時、登坂選手は漏れないようにする工夫はどうしていましたか?
登坂「私はタンポンをつけると、そこまで漏れることはありませんでしたが、すごく心配な時はタンポンに夜用の大きいナプキンをつけました。本当に(経血が)多い人は多い。タンポンとナプキンをつけても(心配)という子もいる。そういう場合はピルが望ましいのでしょうか?」
須永「確かにピルを服用すると経血の量は減ります。最近は吸収型のサニタリーショーツもありますね。夜用のナプキンで1~2時間、持たないくらい経血が多いようであれば、過多月経の可能性もありますし、貧血につながることもあるので、婦人科を受診することをオススメします」
【質問】器械体操をしている娘が体重が増えるのを嫌って、サプリメントのダイエット商品に目が行きがちです。体が大事で、食事をきっちりすることに目を向けてほしいけど、親の言うことを聞かない年頃。どうアプローチしたらいいでしょうか?
須永「まず(体作りは)食事が基本。サプリメントの考え方としては、食事で補えない分を補うものです。食品は凄いもので、ごはんというと糖質のイメージが強いかもしれませんが、ビタミンB1、B2、たんぱく質も含まれている。糖質をエネルギーにするためにはビタミンの働きが必要ですが、サプリメントは単体でしか栄養素が摂れません。
いくつものたくさんの栄養素が関連し合って、人の体に役立ちます。サプリメントだけで人間に必要な栄養素を補うのは難しいと思いますし。ドーピングの観点からしても、いろんなサプリメントがあり、科学的に検証されているか、ドーピングに引っ掛からないか。それが分からないなら摂らない方がいい、食事から栄養素を摂ることを考えてほしいです」
伊藤「特に思春期に体重を増える時期、器械体操のようにコントロールしければいけない競技では、そういう方向に目がいきがちです」
登坂「私もそうなりそうな時期がありました。体重のことばかり考えていると、ごはんじゃなく、これ(サプリメント)だけ飲めばという考えになりますが、須永先生が言うように食事が基本。食事を外すという考え自体を選択肢からなくして食事をどうしていくかを考えるのが一番だと思います」