「大勢はガチ」を作り出す異次元の直球 高橋奎二と共通、日本に到来していない指標とは
大切なことは変化量などの数値より「打者の感じ方」
大勢投手は真っすぐがシュート回転することが特徴的で、気になる人もいるかもしれません。
【注目】応援のプロが楽しみにする『チアスタ!』での交流 チアリーダーHARUKAさんの想い
現在はどうしても回転と変化量、回転軸などのデータに惑わされやすい状況です。確かに3、4年前はその情報すらなかったので決して悪いことではないですが、おそらくメジャーリーグはその次元を超えている段階。球の変化量などよりも大切なものがあると感じています。
腕の振りなりに球はシュートするもの。ホップ成分という球の変化量で言えば大勢投手もそこまでではないかもしれません。でも、なぜ抑えられるかというと、データ上のホップ成分と打者が感じるホップ成分が違うから。大事なのは「打者の感じ方」ではないでしょうか。
数字はあくまで自分の状態を測ったり、自分のピッチングの中で作り上げていく中で使えばいい。
数字で人と比べてどうかは当然大切ですし、最初は分からないから真っすぐや変化球を「○○投手の回転数に近い、変化量に近い」と真似ていくのもいい。でも、あくまで自分の中で打者を抑える良い球の指標を養えたら、本当の意味でラプソードやトラックマンのデータを使えてくる。
データの活用という点で、例えば、ダルビッシュ有投手はその深い部分まで入り込んでいると思います。日本代表の選手たちがいろいろ話を聞けていると思うので、それをまたチームに持ち帰って、きっとここから先、良い循環が生まれる。プロ野球がやり始めたらアマチュアも真似し出します。
これからは球がただ速いとか回転数や変化量がただ多いというだけではなくて、頭が良くて感度が高い選手がより活躍しやすくなるのではないでしょうか。
■内田聖人 / Kiyohito Uchida
1994年生まれ。早実高(東京)2年夏に甲子園出場。早大1年春に大学日本一を経験し、在学中は最速150キロを記録した。社会人野球のJX-ENOEOSは2年で勇退。1年間の社業を経て、翌2019年に米国でトライアウトを受験し、独立リーグのニュージャージー・ジャッカルズと契約。チーム事情もあり、1か月で退団となったが、渡米中はダルビッシュ有投手とも交流。同年限りでピッチングストラテジストに転身。2020年に立ち上げたパフォーマンスアップオンラインサロン「NEOREBASE」は総勢400人超が加入、千賀滉大投手らプロ野球選手も多い。個別指導のほか、高校・大学と複数契約。今も最速155キロを投げる。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)