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「大勢はガチ」を作り出す異次元の直球 高橋奎二と共通、日本に到来していない指標とは

連日熱戦が繰り広げられる野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。「THE ANSWER」では、多くのプロ野球選手を含め400人以上が参加するパフォーマンスアップオンラインサロン「NEOREBASE」を主宰し、最速155キロを投げる自身を実験台にしてピッチング理論やトレーニング理論を発信するピッチングストラテジスト・内田聖人氏が、独自の目線で世界の投手を分析する。今回は日本代表・大勢投手(巨人)と高橋奎二投手(ヤクルト)。12日の豪州戦で登板し、大勢は1回無失点、高橋は2回0失点と好投。ともに150キロを超える直球には他の投手たちとは異なる特徴があるという。(取材・構成=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

豪州戦に登板した大勢【写真:Getty Images】
豪州戦に登板した大勢【写真:Getty Images】

WBC世界の投手たちをピッチングストラテジスト・内田聖人氏が分析

 連日熱戦が繰り広げられる野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。「THE ANSWER」では、多くのプロ野球選手を含め400人以上が参加するパフォーマンスアップオンラインサロン「NEOREBASE」を主宰し、最速155キロを投げる自身を実験台にしてピッチング理論やトレーニング理論を発信するピッチングストラテジスト・内田聖人氏が、独自の目線で世界の投手を分析する。今回は日本代表・大勢投手(巨人)と高橋奎二投手(ヤクルト)。12日の豪州戦で登板し、大勢は1回無失点、高橋は2回0失点と好投。ともに150キロを超える直球には他の投手たちとは異なる特徴があるという。(取材・構成=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

 大勢投手と高橋奎二投手は2人とも真っすぐが物凄く強く、個人的にとても好きな投手です。

 特に、大勢投手は2月に侍ジャパンの宮崎合宿を観に行った時に初めて見て、今までに見たことがないレベルの球の強さに驚きました。巨人の投手に聞いたら「今までキャッチボールした中で断トツで球が強い」と。そう言われるのも納得です。

「真っすぐの強さ」を作り出すものは、完全には科学的に証明されていない部分だと思っています。いろんな要素があり、一つはボールに自分の重さ×速さをぶつける能力が2人とも凄く高いこと。もう一つは面白い共通点ですが、2人ともリリースポイントがあまり高くないこと。大勢投手はサイド気味で、上から投げる高橋投手も(ホーム側に)しっかりと距離を出して、上から叩くというより、若干重心が下がる様な形。打者は手元でボールが浮かび上がってくる様な印象だと思います。

 実は、ベース板にボールが入る角度(入射角)がメジャーリーグでは「アプローチアングル」と言われ、スコア化されていると聞きます。2人はおそらくベース板の入射角が限りなく水平に近い。日本ではまだその様な指標を見ることができませんが、良い指標だと思いますし、これが他の投手と最も違う点ではないでしょうか。

 ともに150キロを超えますが、球速だけじゃない強さがある。結局は打者が強く感じるかどうか。この入射角の考え方は今後の投手のトレンドの一つになっていくと個人的には思います。球が速い投手の特徴は背が大きいことも一つですが、背があまり高くない投手でも高めの真っすぐを使って抑える術のヒントになる気がします。

 アマチュアも同じですが、打者の打ち方に合わせて、投手が打ちづらいボールを投げる、イタチごっこのような形が野球の基本。高めの真っすぐを下からふかせるように投げる感度をいち早く持った投手が活躍しやすい状況なのかもしれません。

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