ビキニ9連覇の女王・安井友梨 奇跡の日本一、40代突入「10年やっていないと辿り着けない」迎えた新境地
身長別の日本一を争う日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)主催のボディコンテスト「オールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス」が29日、岡山芸術創造劇場で行われ、ビキニフィットネス163センチ超級で安井友梨が予選、決勝とも審査員全員が1位をつける圧勝で9連覇を達成した。初出場の2015年に優勝して以来、コロナ禍で大会が中止となった2020年を除いて10年間、頂点を守り続けるビキニの女王。40歳になって味わった日本一には、特別な想いがあった。
オールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス
身長別の日本一を争う日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)主催のボディコンテスト「オールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス」が29日、岡山芸術創造劇場で行われ、ビキニフィットネス163センチ超級で安井友梨が予選、決勝とも審査員全員が1位をつける圧勝で9連覇を達成した。初出場の2015年に優勝して以来、コロナ禍で大会が中止となった2020年を除いて10年間、頂点を守り続けるビキニの女王。40歳になって味わった日本一には、特別な想いがあった。
審査結果が発表される表彰式。優勝者として、最後に安井のナンバー「114」がコールされると、この日のために磨き上げた体を過去8度の優勝とは違う感情が包んだ。
「『当たり前のこと』に感謝があふれ、これまでの9年と今年の1年はまったく違う。新しい境地に辿り着いたステージでした」
いわずと知れた「ビキニの女王」。広くメディアで取り上げられ、競技の顔として、いつしか「優勝」が宿命づけられる立場に。昨年は大会直前の8月、トレーニング中に器具が足に落下した。左足の指を骨折するアクシデントに見舞われ、まともに歩くこともできない状態のまま強行出場して奇跡の日本一。ステージ上で涙を流した。
当時を振り返り、感慨深げに明かす。
「去年はステージに立つだけで精一杯。有酸素も、トレーニングも、ポージングもできない、全部が“できない”シーズンでした。でも、今年は全部が“できる”シーズン。歩けるだけで、このステージにいられるだけで幸せで……。“できる”喜びを毎日味わわせてもらいました」
怪我をして「当たり前」のありがたみを感じたことで、ビキニフィットネスへの向き合い方も変わった。
これまでは「勝たなきゃ」「負けたらどうしよう」という重圧を背負い、大会前は寝られない日々。昨年は前夜、一睡もできなかった。「今年は7時間睡眠です。勝ち負けは一切ない、出るだけでいい、負けたっていい。そういう執着から解き放たれていました」と笑う。
「変な話、息を吸えるのも、歩けるのも、食べられるのも、耳が聞こえるのも、今は喜びに感じられる。それも去年の経験があったからこそ。朝5時に起きて、家の周りを歩くけど、有酸素をしながら『幸せです、ありがとー』と言いながら歩いています(笑)」
その裏で、家族の支えがあったことも忘れない。決勝前には10年間も支えてくれた感謝のメッセージを送り、涙してステージに上がったという。
「今までは『人のために』『皆さんのために』という思いでプレッシャーを感じていたけど、今年は自分のために楽しもうと。10年目でようやくそういう境地に辿り着いた。自分が楽しんでいないと、観てくださる皆さんも楽しめない。10年やっていないと辿り着けない境地だったと思います」
今年1月に40歳を迎えた。「この年齢で20代そこそこの選手とも戦わないといけない。ケアは大変です」と笑った後で「でも……」と続けた。
「私がそういう姿を見せることで40、50代の皆さんの星になれれば。自分次第で年齢関係なく、最高の美を追求できると証明したいです」
口癖は「Age is just a number(年齢はただの数字)」。挫折を経験し、不惑を迎えた女王は、さらに新たなビキニフィットネスの魅力を体現してくれそうだ。
(THE ANSWER編集部)