人工透析の夫に腎臓の1つを提供 選手生命に黄信号も「片腎レギンスアスリート」が諦めないワケ
黄色信号も継続を希望「私の体を実証実験に使っていいから、誰か調べてくれないかな」
今回の「マッスルゲート」が初めてのボディコンテスト出場。3人目を出産後、なかなか体重が落ちず「これはやばいぞ」とジムに通い始めた。一度は10キロ以上の減量に成功したが、コロナ禍で逆戻り。外出しない日々が続いて、お酒の量も増え、気付けば体重は3人目の臨月のときを超えていた。
「ここでやらなかったら……」と一念発起。昨春から大会のために約10か月間、禁酒と食事制限、ハードな筋トレに取り組み、61キロから44キロまで減量。「最初は辛くて、『ああ、もう無理、ああ、もう無理』という感じでした」。しかし、50歳を超えても大会で輝く憧れの選手を見つけ、彼女に近づこうとモチベーションを維持した。
「こういう筋トレの大会を目指すことで健康的な痩せ方もできるし、憧れとしていた体型にも近づける。そうしないと、体重目標を達成しちゃったらモチベーションが続かないんです。そうなると、また太るしかなくなっちゃうから。大会があることで、ストイックに頑張ろうというモチベーションになります」
努力は実り、見事優勝。今度は出場権を獲得した年末の日本大会(ジャパンカップ)が目標となり、厳しいトレーニングに意欲が続いていくはずだった。
しかし、黄色信号が灯った。
腎臓の機能は悪化すると元には戻らず、最悪の場合、透析患者になる可能性も。「この競技をいつまで続けられるか分からないな、と思っています。健康を害したら意味がない。大会に出たい、優勝したい思いはあっても、自分が人工透析になるのは絶対嫌」。医師と設定した数値を超えたら一切プロテインは飲まない、と決めた。
年末のジャパンカップには出るつもりだ。
「自分の体で実証実験ですね。運動強度によって摂らないといけないタンパク質量は違います。平均的な栄養摂取の目安はあるけど、健康を保つだけでバルクアップはしない。何グラムまでなら摂っていいのか、計算しながらやらないと。私の体を実証実験に使っていいから、誰か調べてくれないかな」。涙ながらに思いを口にした。