大野将平、海外勢もお手上げの存在感 「機関銃でも持っていかないと勝てない」の声も
東京五輪は26日、柔道男子73キロ級の決勝が日本武道館で行われ、大野将平(旭化成)がラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)に延長の末、勝利。2016年リオデジャネイロ五輪に続く、2連覇を成し遂げた。
約1年5か月ぶりの実戦で歴史に名を刻む
東京五輪は26日、柔道男子73キロ級の決勝が日本武道館で行われ、大野将平(旭化成)がラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)に延長の末、勝利。2016年リオデジャネイロ五輪に続く、2連覇を成し遂げた。
誰が相手でも一本を取りに行く大きな柔道が大野の代名詞だ。国際合宿では体重差のある100キロ超級のテディ・リネール(フランス)を相手に、何度も乱取りを敢行。その闘争心と、武士のようなたたずまいは世界のライバルたちが畏怖の目で見つめた。
6月の世界選手権(ハンガリー)で講道館の上村春樹館長は、大野に関する海外勢のうわさを耳にした。「海外の選手は大野には機関銃でも持っていかないと勝てないと言っている」。その圧倒的な存在感は、いつしか人間をも超越していた。
五輪が約1年5か月ぶりの実戦になるため、試合勘が課題だった。そこで大野は5月、ロシア・カザン国際合宿に参加した。上村館長は「外国人は手足の長さがちょっと違う。そのちょっとで狂わされることがある。筋肉のつき方もそう」と狙いを察し、大野なりに準備を進めていることに理解を示した。
決勝は9分26秒の死闘。相手も徹底的に研究し、死に物狂いだった。それでも、最後に勝ち名乗りを受けたのは大野。リオから5年経っても、最強の座を手放さなかった。
恩師で世田谷学園柔道部の持田治也監督は、大野の柔道スタイルについて「いわゆる攻撃は最大の防御っていう話ですよ」と話し、こう解説する。
「2本を持つこと自体が相手にプレッシャーをかける。相手が投げてやろうという心理になれるっていうことは、相手にプレッシャーがかかっていない証拠。たぶん、大野と組む選手たちは、どこから投げられるんだろうっていう怖さを感じていると思う。一昨年に、東京で世界選手権がありましたよね。あのときから、相手がそう思ってるなと感じました。どこから投げられるんだろうって相手が思ってるなって」
胴体に近い部分の柔道着をつかむことによって、外国人は得意の形になれない。もともと嘉納治五郎師範が創始した柔道は日本人に適した格闘技だった。
「柔道は日本特有の発祥の競技なので、もともと実は脇の下を持ったり、襟を持ったりということで、内側から抜き上げる特有の理屈がある。いわゆる海外の格闘技は外側からガバっと組んで、内側から抜き上げるっていう理屈がなかった。柔道はすごいなと思わせるのはそういうところ。片手でうまいことやってっていうのは正直言って、海外の選手のほうがずっとうまい」(持田氏)
接戦になっても大野は崩れなかった。「JUDO」ではなく柔道を貫き通した男子史上4人目の連覇。大野は日本の柔道の神髄を示し、不動のチャンピオンになった。
(THE ANSWER編集部)