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【今、伝えたいこと】「いつでも本番を迎えられる準備を」 荻原健司が五輪アスリートに求める“覚悟”

新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止に。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。

スキー・ノルディック複合で2大会連続の金メダルを獲得した荻原健司氏
スキー・ノルディック複合で2大会連続の金メダルを獲得した荻原健司氏

連載「Voice――今、伝えたいこと」第19回、“キング・オブ・スキー”がアスリートに送る熱いメッセージ

 新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止に。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。

 日本全体が苦境に立たされる今、スポーツ界に生きる者は何を思い、現実とどう向き合っているのか。「THE ANSWER」は新連載「Voice――今、伝えたいこと」を始動。各競技の現役選手、OB、指導者らが競技を代表し、それぞれの立場から今、世の中に伝えたい“声”を届ける。

 第19回はスキー・ノルディック複合で2大会連続金メダルの荻原健司氏。「キング・オブ・スキー」とも呼ばれるレジェンドが、部活動に打ち込む中高生や、そして1年延期となった東京五輪を目指すアスリートに送るメッセージとは。

 ◇ ◇ ◇

 五輪で2つ、世界選手権で4つの金メダル。W杯通算19勝、史上初の3年連続の総合V――。輝かしい実績を誇る荻原さん。“キング・オブ・スキー”と呼ばれた男にとっても、スポーツが縁遠くなってしまった今、スポーツが持つ力と改めて向き合っている。

「スポーツとは何なのか。次々と大会がなくなっている。私自身も日頃講演会や、スポーツイベントに呼ばれることが多いのですが、そういうものが全てなくなった。不要不急という言葉が言われていますが、スポーツは本当に不要不急なのでしょうか。考えさせられました。スポーツって何なんだろうと。スポーツがあることで、すごく充実して清々しい豊かな生活が送れるんだと、改めて感じています」

 50歳となった今も実に若々しい荻原さん。穏やかな表情でスタートしたリモートでのインタビューだったが、インターハイや、甲子園が中止となった若きアスリートたちへと話が及ぶと一転、表情を曇らせた。

「特に若い選手たちが心配です。中高生、部活で頑張っていたにも関わらず、夢の舞台がなくなってしまった。中高生にとっては五輪や世界大会はまだまだ先のこと。目指しやすい、目標となりやすいのが全国大会です。多くの若いアスリートたちが、自分の目指すべき場所がなくなって、スポーツに対するモチベーションが低下してしまっています」

 では、そんな中高生アスリートは何をモチベーションにすればいいのだろうか。荻原さんは伝えたいメッセージがあると、声のトーンを一段上げた。

「スポーツは中学まで、高校までと決めていた。という3年生も多いでしょう。全国大会はなくなってしまいましたが、終わりを決めていた選手自身の気持ちがすっきりとして、自分は十分やってきましたと。それで競技活動から離れようというのであればいいと思います。ですが、好きなスポーツを本当にこのままやめてしまっていいのだろうか。どうしても、もやもやした気持ちが残っている選手もいるでしょう。私は、このもやもやを残したまま、競技スポーツから離れて欲しくありません。

 いつか必ず、後悔する時がくる。あの時、なぜやめてしまったんだろう……。もうひと踏ん張りして頑張ればよかった。と思う時がくる。もやもやしたものが少しでもあるんだったら、高校や、大学に進学してもチャレンジをしてほしい。自分の気持ちの中ですっきりするまで、やりきったというところまで続けて欲しい。それがこの先の自分の人生にも繋がってきます。こういう状況だからこそ、中学校まで、高校までと区切りをつけないで。そもそもスポーツって区切りをつける必要はないんです。一生涯付き合っていけるのがスポーツです」

 自身も群馬・長野原高時代から世界ジュニアに出場するなどしていたが、順位は16位が最高。オリンピックを意識し始めたのは20代に入ってから。「中高生の皆さん、自分自身の可能性が広がっていくのはこれからですよ」と強調する。

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