「慎さんスクラム」で王者撃破へ 3季ぶり復帰、長谷川コーチが築く“ヤマハスタイル”
古巣ヤマハに復帰した長谷川コーチが作り上げた「ヤマハスタイル」
現役時代はPRとして2度のW杯に出場するなど日本代表40キャップを誇り、指導者になってからも世界一のスクラム強国とも言われたフランスに単身乗り込むなど、飽くなき探求心と豊かな経験によって生み出された「慎さんのスクラム」がなければ日本代表が地元開催W杯で8強入りすることもなかった。
そう断言しても異論が出ないほどの実績を残した後、ポスト2019W杯の新たな挑戦として選んだのが、古巣ヤマハ発動機への復帰だった。
「スクラムはヤマハのカルチャー。なので、その部分で自信を持たせることを最優先した。それによって、スクラム以外もできるようになる」というように、ヤマハ発動機に復帰してからも長谷川コーチが最重要視してきたのは当たり前だがスクラムだ。「うまくハマった」(同コーチ)というトヨタ自動車戦では、いきなり「スクラムでの勝利」(堀川監督)という結果につなげた。
日本代表やサンウルブズの強化に携わるようになった長谷川コーチが直接指導しなくなっていた時代も、ヤマハ発動機のスクラムは常に強力だった。前述のようなトップリーグでの安定した成績も基本的には安定したセットプレーがもたらしたものと言っていい。
その一方で今季の開幕にあたり、ヤマハ発動機FW陣がいままで以上のスクラムに関する手応えを感じているのも事実。開幕節のトヨタ自動車戦、FW陣にはファーストスクラムを組む前から「いける」という感触があったという。
「ファーストスクラムを組む前の『クラウチ、バインド』(というレフリーの掛け声)のところで『いける』、そういう感触がすでにあった」(LO大戸主将)
最前列で強力なトヨタ自動車の強力FWと対峙しながらセットプレーをリードし続けたHO日野剛志は、そうした手応えの根拠に関して以下のように説明する。
「いままでヤマハが積み上げてきたものにプラスして、慎さんがジャパンで積み上げてきたものを融合じゃないですけど、お互いディティールを詰め合って、すごくいいかたちで組めている」