【W杯あの海外選手は今】02年日韓大会　イングランド代表MFデービッド・ベッカム

　サッカーのカタール・ワールドカップ（W杯）は連日熱戦が繰り広げられている。なかには「4年に一度のW杯だけは観ている」あるいは「昔はよく見ていたけど、最近は…」という人もいるだろう。そんなファン向けにかつてW杯に出場し、話題になった海外選手をプレーバック。懐かしい“あの人”の今をお届けする。今回は2002年日韓大会で来日し、空前のフィーバーを巻き起こした稀代の“イケメン”フットボーラー、イングランド代表MFデービッド・ベッカムのその後を追った。

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　ハリウッド俳優顔負けの容姿と、美しいフォームから繰り出される右足の高精度キックを誇った貴公子は、1992年に名門マンチェスター・ユナイテッドでトップデビュー。転機となったのは94-95シーズン、世代交代を進めたチームで存在感を高めるとプレミアリーグ、FAカップの二冠制覇に貢献し主力に定着した。

　その後、着実にキャリアを積み重ねたベッカムだったが、イングランド代表として初めて出場した大舞台、98年フランスW杯で“戦犯”となる。決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦、倒された際に相手MFディエゴ・シメオネを足で蹴ったことが報復行為と判定され一発退場。その後、数的不利となったチームは粘り、PK戦の末の敗退となったため、英メディアからは「10人の勇敢な獅子と1人の愚かな若者」と猛烈な批判を浴びた。

　当時世界的な人気アイドルグループ、スパイス・ガールズのヴィクトリアと交際していたベッカムはピッチ内外で大きな注目を浴びるなかで、ここからスターへの階段を駆け上がっていく。98-99シーズンにユナイテッドの軸としてプレミアリーグ、FAカップ、UEFAチャンピオンズリーグを制して三冠を達成すると、01年10月に行われた日韓W杯欧州予選の最終節ギリシャ戦では、1-2で迎えた後半アディショナルタイムに劇的な同点FK弾を叩き込み、母国を本大会に導いた。

　戦犯から英雄となって迎えた02年日韓W杯。大会直前に左足を骨折するアクシデントに見舞われるも、酸素カプセルも使った治療で間に合わせ、因縁のアルゼンチン戦ではPKから1ゴール。チームをベスト8に導く活躍を見せた。また大会前から、美しいルックスが日本のメディアを賑わせたため、女性ファンが爆発的に増加。イケメン選手として大会中はその一挙手一投足が報じられ、街には当時のベッカムのヘアスタイルである“ソフトモヒカン”姿となった若者が出現した。

　その人気は日韓W杯後も収まらず、レアル・マドリードで“銀河系軍団”の一員になるなど世界的スターの1人として活躍。06年には自身3度目となるドイツW杯にも出場、パリ・サンジェルマンに所属していた13年5月に38歳で現役を引退した。

　スパイクを脱いだベッカムだが、47歳となった今も華やかな生活は変わらず、その動向は世界中のメディアで注目を集めている。抜群の知名度を生かし、引退後も多くのブランドと広告契約を結んでいるほか、幅広くビジネスを展開。莫大な資産を築いており、スペイン紙「マルカ」や英メディア「Give Me Sport」は、有名人の資産を計算したサイト「Celebrity Net Worth」の情報を基に、ベッカム家の現在の純資産は4億5000万ドル（約630億円）だと報じている。

　サッカーに関わる事業の1つとして力を入れているのが、米MLS（メジャーリーグサッカー）のインテル・マイアミだ。07年にLAギャラクシーと契約した際、MLSのクラブ拡張で誕生するチームを2500万ドル（約35億円）で購入するオプションが含まれており、14年にそれを行使。共同オーナー兼会長として18年1月に新チームの参入が承認され、9月にはクラブ名が「インテル・マイアミ」に決定、20年シーズンからMLSに参戦している。また19年1月には、イングランド5部ナショナルリーグのサルフォードの株を10％購入し、ユナイテッド時代の同僚であるガリー・ネビル、ライアン・ギグスらとともに共同オーナーの1人になった。

　世界を股にかけるだけに、ロンドンの自宅のほか、マイアミとドバイにも不動産を所有。英紙「ザ・サン」は今年3月、ロンドンにある4000万ポンド（約67億円）の自宅が強盗に入られたことを伝えている。

　99年に結婚したヴィクトリアとの間には長男ブルックリン、次男ロメオ、三男クルス、長女ハーパーと4人の子供に恵まれ、フォロワー数が7588万人にのぼる自身のインスタグラムでは仲睦まじい家族の姿を頻繁に投稿。今回のカタールW杯でもスタンド観戦する姿が中継映像に映し出されると、日本のツイッターでトレンド入りし、「イケオジすぎる」などと話題に。世界有数のセレブリティとして、スポットライトを浴び続けている。