異色の古賀紗理那引退セレモニーで涙をこらえた人 誰もが笑顔のひと時で…愛を感じたワンシーン
バレーボールの新リーグ「大同生命SVリーグ」は12日、川崎市とどろきアリーナで女子開幕戦・NEC川崎―埼玉上尾戦が行われ、試合後に元日本代表主将・古賀紗理那さんの引退セレモニーが開催された。昨季までNECに10シーズン在籍し、今夏のパリ五輪を最後に現役引退。笑顔ばかりのひとときで、親子愛にあふれた感動のワンシーンがあった。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
THE ANSWER編集部カメラマン・フォトコラム
バレーボールの新リーグ「大同生命SVリーグ」は12日、川崎市とどろきアリーナで女子開幕戦・NEC川崎―埼玉上尾戦が行われ、試合後に元日本代表主将・古賀紗理那さんの引退セレモニーが開催された。昨季までNECに10シーズン在籍し、今夏のパリ五輪を最後に現役引退。笑顔ばかりのひとときで、親子愛にあふれた感動のワンシーンがあった。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
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笑顔あふれる異色のセレモニーで、涙をこらえた人がいた。
試合終了後、暗転した会場内。客席に残った大勢のファンが見守る中、ライトで照らされたコートに古賀さんがNECのOGである上野香織さんと廣瀬七海さんと登場。一緒に約3分半ラリーを披露し、惜別のVTRがビジョンに流れた。さらに「古賀さんが心細いということで……」と言って始まったのは、3人でのトークセッション。椅子に座るでもなく、コート中央に3人で立って輪になり、NEC時代の思い出や今後の活動について花を咲かせた。
通常、引退セレモニーはスピーチなど、主役1人がスポットライトを浴びることが多い。初めて見た形に、シャイな古賀さんの人柄が感じられた。
そして、最も印象的だったのはセレモニーのフィナーレ。「古賀さんのご家族が来てくれています!」とアナウンスされてコートに登場したのは古賀さんの母だった。抱えていた花束を笑顔で手渡す。しかし、身長180センチある娘の肩に顔をうずめてハグした際には、涙をこらえるようにしてギュッと口を結んだ。そんな母の姿に、古賀さんは少し恥ずかしがって体を離したが、顔には満面の笑みが浮かんでいた。
この瞬間だけ、違う空気が流れた。登場する誰もが笑顔であふれていたセレモニー。小学2年生で競技を始めて以来、幾多の怪我や挫折を乗り越え、日本代表主将として五輪に出場し、28歳で引退するまで……バレーボール人生を傍らで支えてきた母ゆえの感情が伝わる表情に心が揺さぶられ、シャッターを切った。
最後に、古賀さんは母から手渡されたボールでラストサーブ。最愛の母に見守られながら、右腕を振り抜き、20年間駆け抜けたコートに別れを告げた。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)