スケボー堀米雄斗連覇、なぜ男女でこんなに強い? 18年前に転機、スケボー大国の始まりは「9800円」
米国のセールスマネジャーの一言から始まった挑戦
一方で、国内統括団体ワールドスケートジャパン(WSJ)専務理事の宮沢武久さんは、育成について、日本独自の文化が形成されていることを要因に挙げる。
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「日本の方程式があるんですよ。『5歳10年』というね。何かというと、5歳でスケートボードを始めて、10年やればオリンピック選手になれるということ。競技を始めるには、早ければ早いほどいいけど、4歳だとまだ自分の意思でやるということが少ない。でも、5歳になれば自分の意思でやりますという子どもが圧倒的に多い。その子どもたちが本当に熱心に、飯も食わないでずっと練習をしている。日本ではカルチャーというと大袈裟になるけど、5歳くらいでスケートボードを始めるということができているんですよね」
ターニングポイントは「2006年」にあったという。スケートボードの輸入卸会社を経営していた宮沢さんは、米国ブランドのスケートボードの販売会議でセールスマネジャーに問われた。
「どうして日本ではキッズスケートを売っていないの?」
「だってキッズがいないから」。それが宮沢さんの答えだった。当時はスケートボードを楽しむ子どもがおらず、宮沢さんの系列店でもキッズ用のボードは取り扱いがなかった。だが、すぐに自身の考えを改める。
「考え直したんですね。そういう意味じゃなくて、『どうして日本はキッズスケーターを育てないの?』と言っているんだろうなっていうふうに解釈したんです。それで、値段を下げてくれって交渉したんですね」
5、6歳でスケートボードに触れてもらうためには、何よりキッズ用ボードの価格を安く設定する必要があった。宮沢さんはムラサキスポーツの担当者と話し、「9800円」という価格をはじき出す。「9800円だったら1万円でお釣りがくる。お母さんも子どもが買ってほしいと言ったら買ってあげるでしょう。そうだな、それではやってみましょうかってなったのが始まりです」