桃田賢斗、年内最終戦は勝利締め 限界を超えた1年間、試合後は涙ぐむような表情も
2019年最後の一戦は、壮絶だった。バドミントン男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗は22日、所属するNTT東日本の一員として国内の団体戦S/Jリーグの決勝に出場し、2-1(21-14、21-23、21-13)でトナミ運輸の西本拳太との同級生対決を制した。チームとしては、2つのダブルス戦で敗れたため、トナミ運輸が4連覇。NTT東日本は2年連続の準優勝となったが、疲労感あふれる試合展開の中でも一歩も引かない戦いぶりで国内のファンに世界王者の底力を見せつけた。
S/Jリーグ決勝に出場、西本との激戦を制す、チーム方針で取材対応なし
2019年最後の一戦は、壮絶だった。バドミントン男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗は22日、所属するNTT東日本の一員として国内の団体戦S/Jリーグの決勝に出場し、2-1(21-14、21-23、21-13)でトナミ運輸の西本拳太との同級生対決を制した。チームとしては、2つのダブルス戦で敗れたため、トナミ運輸が4連覇。NTT東日本は2年連続の準優勝となったが、疲労感あふれる試合展開の中でも一歩も引かない戦いぶりで国内のファンに世界王者の底力を見せつけた。
西本のスマッシュが外れてマッチポイントを制した桃田は、苦痛に顔を歪め、ベンチでチームメイトに迎えられると、少し涙ぐむような表情も見せた。肩にタオルをかけて座り込む様子からは、限界を超えて戦い抜いた1年の疲労感と達成感が滲んでいた。チームの方針により、この日は取材に対応しなかったが、負傷の程度が気がかりだ。
第1ゲームは、桃田が優位に進めて先取したが、第2ゲームから西本が意地を見せた。攻撃的な姿勢を貫いた西本と、対抗してねじ伏せようとする桃田のラリーは、鬼気迫るものだった。互いに攻めに出過ぎて頭上や横を抜かれる場面もあったが、どちらも引かずに少しでも前のポジションからタイミングの早い返球を狙い、フィジカルもメンタルも耐久力を試される展開になった。
高速ラリーを西本が制すると、桃田は次の1球で相手のサーブを思い切り強打。どうだと言わんばかりに相手を見つめた。しかし、西本は終盤で「1本、1本……」と小さくつぶやきながら、相手のマッチポイントをしのぐ粘りを見せ、19-20から追いつき、22-21から桃田のスマッシュをレシーブした球を桃田が見送ってコートイン。23-21で勝負をファイナルゲームに持ち込んだ。
ファイナルゲームは、互いに明らかに呼吸が荒く、死闘となったが、最後にクオリティーの差と引かない姿勢の強さで勝利を呼び込んだのは、桃田だった。7点目はヘアピン返しをクロスに運ばれた球に飛びついて粘り、ラリーに持ち込んで制したポイント。納得できないラインジャッジで点を失う場面もあったが、ドライブの打ち合いを制して12点目を奪うなどリードを保ち、最後は攻め急ぐ相手のミスによる加点で突き放して勝利にたどり着いた。
今季は、夏の世界選手権や冬のBWFワールドツアーファイナルズなど主要な国際大会で11勝。勝てば勝つほど試合数が増える中で、国内の大会にもチームのエース、日本のエースとして出場し続けた。年明けの1月には、マレーシアマスターズへの出場を予定しており、29日からは日本代表の年越し合宿に参加する見込みだ。1年を走り切った桃田は、わずかな休息の時を経て、再び東京五輪に向かって走り出す。
○S/Jリーグ トップ4トーナメント成績
<男子>
優勝:トナミ運輸
準優勝:NTT東日本
3位:日本ユニシス
4位:日立情報通信
(平野 貴也 / Takaya Hirano)