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【名珍場面2019】イチロー、最後の瞬間に米実況の「2分38秒の沈黙」が生んだ感動

12月を迎え、様々な競技で盛り上がりを見せたスポーツ界を連日、振り返る「名珍場面2019」。今回は米大リーグのマリナーズ・イチロー外野手が現役最終戦となった3月のアスレチックス戦で、米スポーツ専門局「ESPN」の実況アナが行った“粋な演出”だ。守備交代を告げられると、なんと2分38秒に渡って沈黙し、イチローの表情と球場の雰囲気を伝える配慮を行った。実際のシーンを公開した動画は再生270万回も再生されるなど、日米ファンの胸を打った。

マリナーズ時代のイチロー氏【写真:Getty Images】
マリナーズ時代のイチロー氏【写真:Getty Images】

「スポーツ界の名珍場面総集編」―3月の現役最終戦でESPNアナが粋な演出

 12月を迎え、様々な競技で盛り上がりを見せたスポーツ界を連日、振り返る「名珍場面2019」。今回は米大リーグのマリナーズ・イチロー外野手が現役最終戦となった3月のアスレチックス戦で、米スポーツ専門局「ESPN」の実況アナが行った“粋な演出”だ。守備交代を告げられると、なんと2分38秒に渡って沈黙し、イチローの表情と球場の雰囲気を伝える配慮を行った。実際のシーンを公開した動画は再生270万回も再生されるなど、日米ファンの胸を打った。

 言葉なんか、要らなかった。8回、サービス監督がベンチから球審のもとに歩み寄ると、ライトを指さした。イチロー、交代――。この時、すでにこの試合限りで引退するとの報道が日米で流れていた。つまり、これが“最後の瞬間”になる。球場内にざわめきと歓声が交錯した。背番号51は悟ったように頷き、右翼席のファンに手を挙げて応えた。

 このシーン、ESPNの実況は「ちょっと待ってください。スコット・サービスが出てきました」と第一声。「マリナーズ選手が集まります。重大な瞬間となりそうです」と言い、イチローがベンチに向かって歩き始めると「これがメジャーのフィールドから去る、最後の時です」と覚悟したかのように言った。そして、これを最後に言葉が途切れた。

 イチローがベンチに戻り、一人一人と抱擁を交わす。その間も実況は一切の言葉を挟まない。球場内の声援だけが響き、時折イチローの声がマイクに拾われる。そして、涙の菊池雄星ら全選手との時間を終えると「一人ずつ……(抱擁)」と口を開くと「東京ドームすべてのファンと最後のサヨナラです」と情緒たっぷりに話し、グラウンド上の光景を伝えていた。

 感動の瞬間に言葉は要らない。それを証明するかのように、粋な演出を施した。ESPNは公式ツイッターで「レジェンドへ最後のサヨナラ。イチローが東京の観衆に挨拶。最後のMLBゲームから去る」と題し、実際のシーンを動画付きで公開。ネット上では日本のファンの間でイチローに対する敬意が伝わる実況の振る舞いに反響の声も上がっていた。

 日米の野球界の歴史上に刻まれるレジェンドの“最後の瞬間”。そのシーンはイチローを愛する人すべてにとって、生涯忘れられない記憶として刻まれた。

(THE ANSWER編集部)

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