勇退のウェールズHC、代表を離れて一番寂しく思うものは… 即答した答えは?
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は1日、東京スタジアムで3位決定戦が行われ、1987年の第1回大会以来の3位入賞を目指したウェールズは17-40でニュージーランドに敗れた。今大会を最後に代表ヘッドコーチ(HC)から退くウォーレン・ガットランドHCは「結果に不満はない。今日はオールブラックスが素晴らしかった」と潔く負けを認め、満足そうな笑顔を浮かべた。
12年の代表を率いたガットランドHC、シックスネーションズで3度優勝など多大な功績
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は1日、東京スタジアムで3位決定戦が行われ、1987年の第1回大会以来の3位入賞を目指したウェールズは17-40でニュージーランドに敗れた。今大会を最後に代表ヘッドコーチ(HC)から退くウォーレン・ガットランドHCは「結果に不満はない。今日はオールブラックスが素晴らしかった」と潔く負けを認め、満足そうな笑顔を浮かべた。
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南アフリカとの準決勝でWTBノースが負傷するなど、4選手を怪我で欠いたウェールズ。序盤から防戦一方になるかと思いきや、前半は先に2トライを許しながら、18分にFBエーモスがトライを決めて、一時は4点差に迫る追い上げを見せた。だが、10-28で前半を折り返すと、後半も開始直後にトライを献上。途中、敵陣深くへ攻め込む場面も多く、ボールの支配率は61パーセントとオールブラックスを上回ったが、なかなか得点に結びつけることはできなかった。
2007年にウェールズ代表を率いるようになってから12年。“レッドドラゴン”の愛称で親しまれる代表チームと過ごす最後の試合だったが、「私にとってこの大会が最後になるのは、前々から分かっていたこと。それで感傷的になるのは良くない」とキッパリ。試合前、選手たちに「チームとして誇りを持つように声を掛けた。とにかくいい試合をしようと。決勝に進めないのは残念だが、オールブラックスとの試合は楽しみにすべきだと話した」と明かす。
HCに就任した当初、ウェールズ代表は低迷期にあった。同年のW杯では決勝トーナメントに進めず。だが、ニュージーランド出身のガットランドHCは、協会を巻き込んだ強化に着手。翌2008年にシックスネーションズで優勝を果たすと、2012年、2019年と3度頂点に輝き、グランドスラムも3度達成した。
ウェールズのラグビー史に残る数々の成功を収めた名将は、「代表を去った後、何を一番寂しく思うか?」と質問されると、迷うことなく「素晴らしい心構えを持った選手たち」と即答した。
「選手たちはホテルでもトレーニング会場でも前向きに行動できる意識の高い集団だった。礼儀正しく、ファンにサインを求められても、いつでも模範的な行動で対応した。日本に来てからもその姿勢は変わらず、練習がきつくても文句は一切言わない。むしろ、自分はもっと何をするべきか、常に考え、求める選手だった。小国のウェールズは、自分を追い込み努力する文化がある。自分の中にあるスポンジを絞って絞って、さらに絞り込めるところが大好きだった」
ウェールズ代表から退いた後は、故郷のニュージーランドでチーフスのHCを務めることが決まっている。その後はブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズでも指揮を執ることが決まっている。「本当はもっと長い休みを取る予定だったんだけど……」と照れくさそうに笑ったが、やはりラグビーが好きでラグビーの現場から長く離れてはいられないようだ。
もちろん、ウェールズ代表の今後の発展を願ってやまない。
「今後も可能性は広がっていく。新しい代表チームが、ここから積み上げてほしい。シックスネーションズで優勝し続けることは難しいが、他のトップチームを意識しながら研鑽していってほしい」
ガットランドHCの残した築いたレガシーを無駄にしないこと。それがウェールズ代表、そして動向ラグビー協会の使命と言えそうだ。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)