だから、イチローは愛される 金字塔の裏で「試合前」の“イチ流”行動に脚光
どんな瞬間でも準備欠かさないベテラン「全ての投球の合間にストレッチしていた」
イチローがマリナーズ時代に出場した2004年7月13日のオールスターで、クルック氏にとって忘れられない光景があるという。「イチローがセンターを守っていましたが、全ての投球の合間にストレッチしていましたよ。彼の姿を見るのは喜びです」と話し、どんな瞬間でも準備を欠かさない大ベテランに感銘を受けていた。
そして、イチローはカウント2−2から外角速球に両腕を伸ばし、レフト前に運んだ。
実況は「イチローが叩きました。これは落ちて、ヒットだ。通算安打数でリッキー・ヘンダーソンを抜きました」と記念の一打を紹介。巧みなバットコントロールでショートのフレディ・ガルビスの頭上を射抜いた。
「(このヒットは)教えられるものではありませんが、彼の長い長いキャリアを通じて機能し続けているのです。これは彼ならではのヒットです。ただバットを伸ばして、フレディの頭上を越えさせました」
クルック氏はイチローの技ありの一打に脱帽。至高の技術で積み上げた3056本という金字塔と、それを支えるストイックな一流の流儀があるから、イチローは愛されるのだろう。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer