北口榛花、中継には映らなかった「涙の取材エリア7分間」の変化 涙、笑顔、声震え…再出発の決意「これで人生終わりとは思わない」
陸上の世界選手権東京大会は連日、国立競技場で超人たちが熱戦を繰り広げている。第7日の19日に行われた女子やり投げ予選で、北口榛花(JAL)は60メートル38と記録を伸ばせず予選落ち。号泣しながら取材エリアに姿を見せた前回女王の表情は、時間を経過するたびに変化した。

東京世界陸上
陸上の世界選手権東京大会は連日、国立競技場で超人たちが熱戦を繰り広げている。第7日の19日に行われた女子やり投げ予選で、北口榛花(JAL)は60メートル38と記録を伸ばせず予選落ち。号泣しながら取材エリアに姿を見せた前回女王の表情は、時間を経過するたびに変化した。
大歓声に乗って投じたやりは、力なく重力に屈した。前回大会女王で、昨夏のパリ五輪でも金メダル。今大会の日本代表で最も期待され、最も重圧を背負っていた北口の連覇の夢は、予選で散った。
自身の投てきを終えると、椅子に座って頭を抱えた。表情に生気はない。フィールド上ではなんとか涙をこらえていたが、取材エリアに姿を見せた時には涙腺は決壊していた。
号泣の北口は、海外の関係者にハグされると嗚咽が漏れた。自身のインタビューの順番を待つ間は椅子に座り、何度もタオルで涙を拭った。そして、少し落ち着きを取り戻して言葉を紡いだ。
「たぶん決勝には残れないので。悔しい結果になったんですけど。春先から怪我が続いたり、精神的にも苦しい部分がたくさんあったんですけど、そのたびに今年は2025年東京世界陸上があるから、練習に戻ろうという気持ちになれたので……。凄く今シーズン、素敵なゴールを作ってくれた皆さんに感謝したいです」
取材を受けた時点ではB組の結果を待っている状況だったが、予選落ちを覚悟していた。
6月下旬に右肘を故障。8月下旬に復帰したものの、万全の状態から遠かった。「ちょっと試合から遠い練習ばかりになったのかな、と思っている」。患部の状態も考慮しながら、全力での調整はできなかった。
時間が進むごとに、北口の表情は変わっていった。同じA組のライバルの投てきについて問われると、「まあこれ以上、超えないでほしいなとは思っていたんですけど」と笑った。
ただ、今後について語る時はまた声が震えた。
「世界大会の借りは世界大会でしか返せない。決勝に残れなかったからって人生終わりだとは思わないので、ちょっと長い休みは必要かもしれないですけど、強くなってちゃんと戻ってきたいと思います」
インタビュー冒頭に今大会を「素敵なゴール」と表現した北口。「スケジュール的にゴールだったんですけど」と笑いながら真意を明かした。
約7分の取材を終えると、「ありがとうございました」。涙が乾いた北口が、次の一歩を踏み出していた。
(THE ANSWER編集部)
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