競歩で“誤誘導”の悲劇 記録員「終わりや」で入賞争い一転…途中棄権に「凄く悔しい」【追憶の世界陸上】
陸上の世界選手権東京大会は13日に開幕。21日までの9日間、国立競技場で熱戦が繰り広げられる。今大会が20回目となる大舞台では、過去に記憶に残る様々なシーンがあった。1991年以来、34年ぶりに東京で開催されるこの機会に「追憶の世界陸上」として振り返る。2007年大阪大会では、男子50キロ競歩の山崎勇喜に悲劇の結末が待っていた

追憶の世界陸上・2007年大阪大会
陸上の世界選手権東京大会は13日に開幕。21日までの9日間、国立競技場で熱戦が繰り広げられる。今大会が20回目となる大舞台では、過去に記憶に残る様々なシーンがあった。1991年以来、34年ぶりに東京で開催されるこの機会に「追憶の世界陸上」として振り返る。2007年大阪大会では、男子50キロ競歩の山崎勇喜に悲劇の結末が待っていた
世界陸上が前回、日本で開催されたのは18年前の大阪大会。男子50キロ競歩は、1周2キロの周回コースで実施。8位入賞を争って懸命に歩いていた山崎は残り1周を残した状況で、周回記録員による「(山崎は)終わりや」という声を聞いた複数のコース誘導員によって競技場へ導かれた。
係員が慌てて後を追ったが、山崎はそのままトラックを歩いてフィニッシュ。倒れこみ担架で医務室に運ばれた。電光掲示板に表示された「5位」は一瞬で消えた。酷暑の中、3時間48分歩いた先に待っていたのは、運営の不手際による「途中棄権」だった。
大会組織委員会は会見で山崎や日本選手団に謝罪。医務室で結果を聞いた山崎は「順位もつかず、歩型違反でもない失格(公式記録は途中棄権)は凄く悔しい」と言葉を絞りだした。
その後、山崎はこの経験を糧にする。翌年の08年北京五輪。50キロ競歩のレース中、腹痛に襲われながらも懸命に歩みを進めた。五輪での日本競歩界初入賞となる7位で、その名を刻んだ。
現在、世界大会でのメダル常連となった日本競歩。強国への礎を築いた悲劇の男は、20年3月に現役を引退した。
(THE ANSWER編集部)
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