聴覚障がい持つ子供も「あきらめずスポーツできる環境を」 東京デフリンピック選手団旗手・松元卓巳の覚悟
聴覚障がい者の国際大会「デフリンピック東京大会」の日本選手団が7月31日発表された。選手数は史上最多の273(男子160、女子113)人で、初めて全21競技に参加。東京都庁で行われた記者会見では旗手に選ばれたサッカー男子の松元卓巳と空手女子の小倉涼が11月15日に開幕する大会での健闘を誓った。

日本史上最多の273選手が出場
聴覚障がい者の国際大会「デフリンピック東京大会」の日本選手団が7月31日発表された。選手数は史上最多の273(男子160、女子113)人で、初めて全21競技に参加。東京都庁で行われた記者会見では旗手に選ばれたサッカー男子の松元卓巳と空手女子の小倉涼が11月15日に開幕する大会での健闘を誓った。
デフリンピックは「聞こえない、聞こえにくい」アスリートのための国際大会で、1924年にパリで第1回が始まった。国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)によって五輪やパラリンピック同様に4年に1回行われ、今回が25回目。70~80か国から約3000人が参加し、都内各所と静岡(自転車)、福島(サッカー)の各会場で陸上、水泳、柔道、ボウリング、オリエンテーリングなどが行われる。
今大会の日本選手団は五輪、パラリンピックにならって初めて主将を設けず。旗手にはチームを引っ張る役割もある。サッカー男子代表で主将、GKとして23年W杯準優勝の松元は「覚悟と誇り、責任を持って日本選手団を引っ張っていきたい」。前回22年カシアスドスル(ブラジル)大会の形と組手で2冠の小倉も「国を代表する重みと誇りを胸に選手団の思いを1つにして入場したい」と決意を述べた。
五輪との「コラボ」で広く知られるようになったパラリンピックより前から行われているデフリンピックだが、認知度は低い。松元は「まず知ってもらうこと。聞こえない、聞こえにくい人がいることを知っていただくために、結果を出したい」。また聴覚障がいを持つ子供たちに向けて「聞こえないことを理由にあきらめることなく、スポーツができる環境ができればいい」と話した。
小倉も「最近は、あいさつなど簡単な手話を覚えていただけるようになってきた。デフリンピックの認知度が上がることで、ろう者との付き合い方を学ぶ機会になれば」と共生社会に期待。「聞こえないからできないではなく、私たちを見て同じようにやってみたいというモチベーションにつながれば、うれしい」と手話で伝えた。
日本選手団の太田陽介団長(全日本ろうあ連盟スポーツ委員会委員長)は、選手団のスローガン「燃えろ! ALL JAPAN!」を発表。大会の目標に「メダル31個以上」を掲げた。過去最多だった前回大会の30個(金12、銀8、銅10)を上回る数。「行われる21競技すべてでメダル獲得を目指したい」と話した。
ゲストとしてあいさつした日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長は「見ることへの集中力、視覚で状況を読み取る力は、すべてのアスリートにとって学びになる。選手に最高のパフォーマンスで最高の結果を期待するとともに、共生社会の実現へ東京が世界に向けてのモデルケースになればいい」と大会に期待した。
デフリンピックへの関心と機運を高めるため、オリジナルモニュメントが競技会場のある地域を巡る「カウントダウンツアー」が8月3日に静岡・駿東郡のサントムーン柿田川でスタート。開幕100日前の7日には「東京デフリンピック 100 Days To Go!」が東京・世田谷区の二子玉川ライズで行われる。
(THE ANSWER編集部)
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