オールスター前最後の3連戦で生まれた光景

　米大リーグのドジャースは13日（日本時間14日）まで敵地でジャイアンツとオールスター前最後の3連戦を行い、2勝1敗で勝ち越した。大谷翔平投手は12日（同13日）の第2戦で先発し、3回1安打4奪三振で無失点の快投。打者としては3試合で11打数2安打1本塁打だった。圧巻だったのは11日（同12日）の初戦で放った32号“スプラッシュ弾”。MLB公式が「純映画」と評する光景が広がっていた。

　オールスター前最後の3連戦。同地区の宿敵ジャイアンツの本拠地に乗り込んだ大谷が初戦から魅せた。3回1死三塁、エース右腕ウェブから飛距離410フィート（約125メートル）の特大32号2ラン。右翼席を越え、場外の海へと突き刺さる「スプラッシュ・ヒット」となった。ボートを出して、ホームランボールを狙う人がいるほどの同球場の名物だが、日本人では初の偉業だった。

　大谷の一発もボートに乗っていた男性ファンが飛び込み、見事にゲット。ずぶ濡れになりながらもボールをつかんだ右手を掲げて喜んでいた。一方その隣、わずかに及ばなかった別の男性ファンは、獲得競争に敗れた上にゆっくりと転覆。同じくずぶ濡れとなってしまった。X上のファンからは「ホームランボールを取られた後に転覆するおじさんが不憫でならない笑」と注目の声が上がっていた。

　球場内に視点を戻すと、大谷がボールを捉えた直後、一塁側のドジャースファンは総立ちに。大谷はバットを高々と投げながらゆっくり歩き出した。ダイヤモンドを1周する間には外野席のファンにも手を振り、場内が騒然とする中で生還。MLB公式Xはこの一部始終を左翼方向から捉えた動画を公開し、「必見：ショウヘイ・オオタニのホームランのこのアングルは純映画だ」と表現している。

　12日の第2戦では投手としても登板。初回に3者連続三振を奪うなど、3回1安打無失点、4奪三振の快投で敵地でも喝采を浴びた。チームは2-1で勝利し、連敗を7でストップ。米カリフォルニア州地元局「スポーツネット・ロサンゼルス」の試合後番組は、大谷の囲み取材の様子を中継したが、背後では敵地にもかかわらず「レッツゴー・ドジャース！」のチャントが響く異様な事態が発生していた。