パリの悔しさから「逃げなかった」村尾三四郎 4年後に向けた復活V、常に考えた「どうしたらもっと…」
柔道のグランドスラム(GS)東京大会最終日は8日、東京体育館で男女7階級が行われ、パリ五輪男子90キロ級銀メダルの村尾三四郎(24=JESグループ)が連覇を果たした。多くの五輪代表選手が休養をとる中で8月中旬に練習を再開。強豪を撃破しての優勝に「逃げずに柔道に向き合い続けた自分を評価したい」と胸を張った。
柔道グランドスラム東京大会
柔道のグランドスラム(GS)東京大会最終日は8日、東京体育館で男女7階級が行われ、パリ五輪男子90キロ級銀メダルの村尾三四郎(24=JESグループ)が連覇を果たした。多くの五輪代表選手が休養をとる中で8月中旬に練習を再開。強豪を撃破しての優勝に「逃げずに柔道に向き合い続けた自分を評価したい」と胸を張った。
村尾は強かった。2回戦、準々決勝を危なげなく勝ち上がると、準決勝では今年の世界選手権を制した田嶋剛希(パーク24)と対戦。これまで対戦成績では分が悪いが「勝ち切りたい相手の一人」を10分近い激闘で下すと、決勝では23年世界王者のルカ・マイスラゼ(ジョージア)に勝利。「五輪後初めての大会で優勝できてよかった」とパリ五輪後の4か月を振り返った。
パリ五輪代表のほとんどが欠場した今大会。出場した男子60キロ級の永山竜樹、73キロ級の橋本壮市は調整不足もあって優勝には届かなかった。そんな中で村尾は「優勝を狙って」準備をして出場。2人の世界王者を連破して、スタンドのファンの声援に応えた。
パリで味わった悔しさに背中を押された。東京五輪王者のラジャ・ベカウリ(ジョージア)との決勝戦、誤審騒ぎが起こるほどギリギリの試合の末に敗れた。試合後は勝者をたたえ、インタビューではカメラに背を向けて涙をぬぐい「内容どうこうよりも負けはきついもの。悔しさが残る」と話した。
その強い精神力と潔い姿に日本中のファンは感動したが「金メダルを取るために」上がったパリの大舞台での敗戦ショックは大きかった。悔しい気持ち、心のモヤモヤを晴らすために選んだのは、少しでも早く柔道をすることだった。
五輪までストイックに競技に打ち込んできた選手たちが、大会後に休むのは普通だ。減量など体調管理もある柔道では、休養も大切。特に今回は東京大会後と違って次の五輪まで4年ある。周囲からは休養して心身をリフレッシュすることを勧める声もあったという。
それでも、村尾は帰国から半月ほどで畳に戻った。「なかなか気持ちは乗らなかったけれど、先に体を動かした」。パリ五輪の悔しさを思い返しながらも「どうしたら、もっと強い柔道家になれるかだけを考えていた」という。