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ロス五輪へ、柔道ニッポンの若き力が躍動 20歳田中龍雅が初V、22歳中村太樹はパリ五輪銅・永山を撃破で頂点【GS東京大会】

柔道のグランドスラム(GS)東京大会が7日、東京体育館で開幕。男女7階級を行い、男子73キロ級で20歳の田中龍雅(りゅうが、筑波大)が初優勝を果たした。同60キロ級では中村太樹(22=国士舘大)が決勝でパリ五輪銅の永山竜樹(28=SBC湘南美容クリニック)を破って初優勝。28年ロサンゼルス五輪へ、新しい力が飛び出した。

男子73キロ級で初出場初優勝した田中龍雅【写真:編集部】
男子73キロ級で初出場初優勝した田中龍雅【写真:編集部】

グランドスラム東京大会

 柔道のグランドスラム(GS)東京大会が7日、東京体育館で開幕。男女7階級を行い、男子73キロ級で20歳の田中龍雅(りゅうが、筑波大)が初優勝を果たした。同60キロ級では中村太樹(22=国士舘大)が決勝でパリ五輪銅の永山竜樹(28=SBC湘南美容クリニック)を破って初優勝。28年ロサンゼルス五輪へ、新しい力が飛び出した。

 22年世界ジュニア王者の田中は、決勝で今年の世界選手権2位の石原樹(23)と対戦した。ともに技をかけ合い、観客席を沸かせた試合は白熱したまま延長に突入。最後は石原が指導3つで反則負けとなり、田中がシニアの国際大会デビューを優勝で飾った。

 昨年11月の講道館杯で敗れた石原にリベンジした田中は「粘り強く戦うことができた」と振り返った。力強い相手の一発を警戒しながら、得意技の背負い投げを軸に次々と技を繰り出した。「優勝だけを目指していたし、負けることは考えなかった」と言った。

 パリ五輪銅メダルの橋本壮市は5位に終わり、石原にも直接対決で勝利。「ここで負けたら石原選手、橋本選手と差が開く。2人がいる大会で優勝したことは大きい」と胸を張った。

石原樹を背負い投げで攻める田中【写真:編集部】
石原樹を背負い投げで攻める田中【写真:編集部】

 悔しさが力になった。昨年のGS東京大会も代表に選ばれていたものの、ケガで欠場。代表争いから後退した。4月の選抜体重別では優勝したが「国際経験が足りない」と5月の世界選手権の個人戦代表には選ばれなかった。「たら、れば、は言いたくないけれど、悔しい気持ちを結果につなげたかった」と話した。

 団体戦メンバーとして臨んだ世界選手権では決勝のフランス戦でガバに勝って優勝に貢献。そのガバがパリ五輪で銀メダルを獲得したことで「世界で戦う自信になった」と話す。その世界選手権66キロ級で優勝した兄龍馬、筑波大でともに練習する81キロ級五輪連覇の永瀬貴規の存在も刺激になっている。

 目標とするロサンゼルス五輪は4年後。代表争いに好スタートをきったとはいえ、まだまだ先は長い。鈴木監督も接戦となった決勝戦に触れて「今回は田中が勝ったが、次は分からない。まだまだ(ロス五輪への)道のりは長いので、2人で高め合ってほしい」とさらなる成長を求めた。

 年明けの欧州遠征では、この日出場していない海外の強豪選手との対戦も控える。「どんな相手でも勝てるように」と言いながら「今は対戦相手によって対策を立てるより、自分自身の柔道を築きたい」。20歳の田中は、子どもころから得意だったという背負い投げにさらに磨きをかけ、ロス五輪の金メダルを目指す。(荻島 弘一)

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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